正確に言えば「今日の」ではなく、ここ数日のお客様ですが。
まず、明石調理師紹介所の明石所長。
和食の調理師さんの事務所みたいなものです。業界では「部屋」とか「入れ方」といいます。職人さんにとってみれば就職先を、料理屋にとっては調理師さんを紹介してもらう事務所です。短期の助っ人さんなども紹介していただけます。
「大阪名物くいだおれ」と明石所長は長いおつきあいで、所長もなにかと気にかけてくださいます。いっしょに映っている竹間調理長はじめ、割烹部はみな明石事務所からです。
竹間が業界の寄り合いにゆくたびに言ってます。「何百人もいてるのに、明石さんが知らん人、いないんでっせー。」とにかく顔が広い方です。
この業界、朝がたいへん早いようで、明石所長に連絡とるには朝の7時までに電話しないとつかまりません。「くいだおれ」にお見えになるのもだいたい午前中です。
さて、午後は「魔法のレストラン」の取材来店。
4年ほど前に「くいだおれ」が登場したことがあって、今回はその再放映のためのロケということです。
撮影の段取りをするところから、店頭は黒山の人だかりです。
番組スタッフや「くいだおれ」のスタッフが何人もでて交通整理をしていても、ぎりぎりのところまで人だかりです。
もっとも、撮影が始まる前はいったい何の撮影なのか、誰が登場するのか、みなさんほとんどおわかりではありません。
で、水野真紀さんとハイヒールモモコさんが登場すると、「ウォー」という歓声があがりました。やっぱりおきれいです。なんだか、店の前がいっぺんに華やぎますねえ。
この放映は5月15日だそうです。
そして、夜のお客様は作家の難波利三先生。女将とは、文士劇などでご一緒するお仲間で、また、「大阪名物くいだおれ」を長いことごひいきにしていただいたお得意様です。
さっそく難波先生に色紙をねだりました。
先生、お話しながらちょっと考えて、やおら筆を執ってすらすらと。
「くいだおれ たおれても 名は残る」
洒脱ですねー。味のある色紙をちょうだいしました。ありがとうございました。
2008年04月28日
今日のお客様
posted by くいだおれ太郎 at 22:37| Comment(0)
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2008年04月27日
ウラ閉店
「大阪名物くいだおれ」の裏側に、カフェ・レストランの「ブラッスリー ウラ・くいだおれ」があります。
建物は同じですが、入り口が違うので「支店」のようなものでした。
この「ウラ・くいだおれ」、昨年7月にオープンしたのですが、「くいだおれ」閉店までのフロア使用の事情で急遽、一足先に、昨日4月26日で閉店することになりました。つい数日前発売の「あまから手帖」で紹介していただいたのですが、このような事情で、申し訳ありません。
こちら、ウラ・くいだおれのデザイン・設計をしてもらった「オム・コーポレーション」のスタッフです。右から二番目の方がボスの江頭さん。
これは、ウラ・くいだおれのマスコット「くいだおれ楽太郎」。「くいだおれ太郎」の従兄弟です。もっとも「マスコット」とはいっても、世界中を放浪しているのでよくいなくなります。今度も閉店前というので帰って来てましたが、またどこかへ出かけてしまいそうです。
ウラ・くいだおれのスタッフ。左から、曽根くん、大山チーフ、デイブ、(楽太郎)、本田店長。
建物は同じですが、入り口が違うので「支店」のようなものでした。
この「ウラ・くいだおれ」、昨年7月にオープンしたのですが、「くいだおれ」閉店までのフロア使用の事情で急遽、一足先に、昨日4月26日で閉店することになりました。つい数日前発売の「あまから手帖」で紹介していただいたのですが、このような事情で、申し訳ありません。
こちら、ウラ・くいだおれのデザイン・設計をしてもらった「オム・コーポレーション」のスタッフです。右から二番目の方がボスの江頭さん。
これは、ウラ・くいだおれのマスコット「くいだおれ楽太郎」。「くいだおれ太郎」の従兄弟です。もっとも「マスコット」とはいっても、世界中を放浪しているのでよくいなくなります。今度も閉店前というので帰って来てましたが、またどこかへ出かけてしまいそうです。
ウラ・くいだおれのスタッフ。左から、曽根くん、大山チーフ、デイブ、(楽太郎)、本田店長。
posted by くいだおれ太郎 at 14:28| Comment(0)
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2008年04月26日
ざこば その4
初回に登場したビットデザインスタジオの藤田さんのリクエストで、再び早朝の中央市場へ。
前回は時化つづきの後でもあり、あまり魚もなかったのですが、今週はよいお天気続きとあってにぎやかな朝でした。
こちら松久さん。いつもは田中鮪さんの次に寄るところですが、前回は注文がなかったのでパスしました。
松久さんでは、主に活けの魚を仕入れます。
水槽やトロ箱で生かしてあるものを、その場で締めてもらいます。
今日はカツオがありました。
マグロと同じように、カツオもさばいてみなければ身の具合がわからないものです。
だから、ここではこうやってはじめから二枚におろして、身が焼けていないことがちゃんとわかるようにして売っているということです。
せり場です。
せり人は二人一組で、つぎつぎに競りにかけてゆきます。
平日は一組か、せいぜい二組でこなしてゆくようですが、今日はかなり魚が多かったので、4組くらいでまわっていました。
売参(ばいさん、売買参加者)も今日は多いです。
連休前とあってか、高級魚の黒メバルがたくさん。
藤田さんです。
このあと、前回ご紹介した三原さん、カネトさん、たこ清さんに回ります。
わずか2週間で魚の顔ぶれも変わっていたのですが、続きはまた今度。
前回は時化つづきの後でもあり、あまり魚もなかったのですが、今週はよいお天気続きとあってにぎやかな朝でした。
こちら松久さん。いつもは田中鮪さんの次に寄るところですが、前回は注文がなかったのでパスしました。
松久さんでは、主に活けの魚を仕入れます。
水槽やトロ箱で生かしてあるものを、その場で締めてもらいます。
今日はカツオがありました。
マグロと同じように、カツオもさばいてみなければ身の具合がわからないものです。
だから、ここではこうやってはじめから二枚におろして、身が焼けていないことがちゃんとわかるようにして売っているということです。
せり場です。
せり人は二人一組で、つぎつぎに競りにかけてゆきます。
平日は一組か、せいぜい二組でこなしてゆくようですが、今日はかなり魚が多かったので、4組くらいでまわっていました。
売参(ばいさん、売買参加者)も今日は多いです。
連休前とあってか、高級魚の黒メバルがたくさん。
藤田さんです。
このあと、前回ご紹介した三原さん、カネトさん、たこ清さんに回ります。
わずか2週間で魚の顔ぶれも変わっていたのですが、続きはまた今度。
posted by くいだおれ太郎 at 14:49| Comment(2)
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2008年04月25日
TOL (TRIP OF LOVE)
OBP(大阪ビジネスパーク)のシアターBRAVA!でかかっているミュージカル「TRIP OF LOVE」から、太郎と女将に観劇のご招待をいただきました。
ブロードウェイで上演されるミュージカルは、本番までにアメリカの地方都市で「トライアウト」(試験興行)というのをやってストーリーや演出を練り上げるものなのだそうです。そして、いよいよブロードウェイに乗り込むのだと。
その、ふつうはシカゴとかサンフランシスコでやるはずのトライアウト公演が、史上初めて日本へ、それも大阪へやってきたのが今回の公演です。
さて、このミュージカル「TRIP OF LOVE」。
60年代のアメリカン・ポップスを題材にしてストーリーをつむいだ作品ですが、日本人、それも関西出身の方がプロデュースしたということで、大阪でのトライアウト公演が実現したそうです。
プロデューサーの出口さんは、すでにニューヨークで「ブルーマン・グループ・チューブス」というミュージカルをプロデュースされて、これが実に16年目のロングランにかかってまだ続いているヒット作なのだそうです。
実は、「くいだおれ」取締役の柿木が、古い友人に招かれて今回の公演のプレビューを見に行ったのがこの「ご招待」のきっかけでした。
「TRIP OF LOVE」の作りの良さと俳優の演技の上手さ、そして生演奏のすばらしさに感激し、出口プロデューサーに「こんなにすばらしい芝居が道頓堀で見られないのが残念です」と言ったところ、出口さんも「これを道頓堀でできないが残念」と。
ちょうど、閉店の記者会見の直後でした。
会見の場で、「道頓堀に芝居がなくなっていって街が変わっていった」というお話をした直後です。
道頓堀で若い頃を過ごされた出口プロデューサーもこの思いに共感されて、「では、せめてくいだおれ太郎さんと女将さんをぜひご招待したい」と。
今回の公演がふつうではないのは、出演しているのがニューヨークの俳優組合の役者さんばかりというところ。ニューヨークでは組合に所属しない役者さんは舞台に出られないし、またその役者さんたちはほかの都市や国では公演をしないそうです。
そして、本場の役者さんだけあって、個々人の名前が知られているわけではないですが、実に上手い。上手い、というと失礼ですね。全然次元が違うという感じです。なにせ、たたずまいからして違う。ニューヨークやロンドンでミュージカルを見てハマる方も多いようですが、こんなレベルのものを見たのなら当然、と思わせる技量です。
これだけの役者さんが大阪で見られるというのは、最初で最後になるだろうとということです。
それで、太郎と女将もありがたくご招待に応じることになったという次第です。
出口プロデューサーは、
「ブロードウェイはかつての道頓堀と同じ。楽しい芝居と美味しい食事を楽しめる街です。道頓堀も、そうあってほしいのです」と。
太郎と女将のご招待は5月7日です。両名の感想をぜひ聞きたいものです。
「TRIP OF LOVE」の公式ホームページはこちらです。口コミで人気が出て、公演も5月いっぱいまで延長されたということです。
http://www.tripoflove.com/
ブロードウェイで上演されるミュージカルは、本番までにアメリカの地方都市で「トライアウト」(試験興行)というのをやってストーリーや演出を練り上げるものなのだそうです。そして、いよいよブロードウェイに乗り込むのだと。
その、ふつうはシカゴとかサンフランシスコでやるはずのトライアウト公演が、史上初めて日本へ、それも大阪へやってきたのが今回の公演です。
さて、このミュージカル「TRIP OF LOVE」。
60年代のアメリカン・ポップスを題材にしてストーリーをつむいだ作品ですが、日本人、それも関西出身の方がプロデュースしたということで、大阪でのトライアウト公演が実現したそうです。
プロデューサーの出口さんは、すでにニューヨークで「ブルーマン・グループ・チューブス」というミュージカルをプロデュースされて、これが実に16年目のロングランにかかってまだ続いているヒット作なのだそうです。
実は、「くいだおれ」取締役の柿木が、古い友人に招かれて今回の公演のプレビューを見に行ったのがこの「ご招待」のきっかけでした。
「TRIP OF LOVE」の作りの良さと俳優の演技の上手さ、そして生演奏のすばらしさに感激し、出口プロデューサーに「こんなにすばらしい芝居が道頓堀で見られないのが残念です」と言ったところ、出口さんも「これを道頓堀でできないが残念」と。
ちょうど、閉店の記者会見の直後でした。
会見の場で、「道頓堀に芝居がなくなっていって街が変わっていった」というお話をした直後です。
道頓堀で若い頃を過ごされた出口プロデューサーもこの思いに共感されて、「では、せめてくいだおれ太郎さんと女将さんをぜひご招待したい」と。
今回の公演がふつうではないのは、出演しているのがニューヨークの俳優組合の役者さんばかりというところ。ニューヨークでは組合に所属しない役者さんは舞台に出られないし、またその役者さんたちはほかの都市や国では公演をしないそうです。
そして、本場の役者さんだけあって、個々人の名前が知られているわけではないですが、実に上手い。上手い、というと失礼ですね。全然次元が違うという感じです。なにせ、たたずまいからして違う。ニューヨークやロンドンでミュージカルを見てハマる方も多いようですが、こんなレベルのものを見たのなら当然、と思わせる技量です。
これだけの役者さんが大阪で見られるというのは、最初で最後になるだろうとということです。
それで、太郎と女将もありがたくご招待に応じることになったという次第です。
出口プロデューサーは、
「ブロードウェイはかつての道頓堀と同じ。楽しい芝居と美味しい食事を楽しめる街です。道頓堀も、そうあってほしいのです」と。
太郎と女将のご招待は5月7日です。両名の感想をぜひ聞きたいものです。
「TRIP OF LOVE」の公式ホームページはこちらです。口コミで人気が出て、公演も5月いっぱいまで延長されたということです。
http://www.tripoflove.com/
posted by くいだおれ太郎 at 23:00| Comment(0)
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2008年04月24日
居酒屋部 その2 道頓堀コロッケ
先日、ある記者の方からお問い合わせがあった商品ですが、「大阪名物くいだおれ」居酒屋部の名物、「道頓堀コロッケ」をご紹介します。
中身は要するに、カニクリームコロッケの大きなものですが、アワビの殻に入れてあるのと大きいのとで、グラタンとクリームコロッケのあいのこみたいな感じです。
その下ごしらえを見せてもらいました。担当は栗田くんです。
まず、アワビの殻には点々と穴があいているので、これをふさぎます。
溶き卵を糊のようにして、食パンの耳でふさぎます。
そして、ここにあらかじめ作って寝かせてあるクリームコロッケの生地を詰めます。
生地は小麦粉と生クリームがベース。カニ風味で味を付けて、小一時間ほど練ってあるそうです。
そして、ふつうのクリームコロッケと同じように小麦粉をまぶして、溶き卵をつけます。
そして、衣はパン粉ではなくて、パンそのまま。
これが、揚げたときに独特のカリッとした衣になるわけです。
最後にパンの表面に格子状に切れ目を入れます。火が通りやすいように、というのが本来なのでしょうが、この格子模様が道頓堀界隈のタテヨコの路地のようだというので「道頓堀コロッケ」という、という話は今日初めて聞きました。
そして、これをいったんラップで包んでおきます。これでパンの衣がよくなじむというわけです。
この状態で冷蔵庫に寝かせておいて、お客様の注文があれば油で揚げます。ふつうのコロッケよりはるかに大きいので、揚がるまで8分から10分かかるそうです。
生地を練るところから、この下ごしらえ、そして最後にじっくり揚げるところまで、ずいぶんと手がかかってます。この大きさとこの手間で520円(税込み)というのはずいぶん安いなあと思いました。お出しする側の立場としては。
この道頓堀コロッケ、居酒屋部の常連さんには人気の定番です。かなり大きいけど、一人でまるごと食べてしまうお客様もけっこうおられるようです。やっぱり手がかかっている商品は皆さんよくおわかりです。
残念ながら、完成品の写真がありませんでした。また今度コロッケの生地を取材するときにでもご紹介しましょう。
中身は要するに、カニクリームコロッケの大きなものですが、アワビの殻に入れてあるのと大きいのとで、グラタンとクリームコロッケのあいのこみたいな感じです。
その下ごしらえを見せてもらいました。担当は栗田くんです。
まず、アワビの殻には点々と穴があいているので、これをふさぎます。
溶き卵を糊のようにして、食パンの耳でふさぎます。
そして、ここにあらかじめ作って寝かせてあるクリームコロッケの生地を詰めます。
生地は小麦粉と生クリームがベース。カニ風味で味を付けて、小一時間ほど練ってあるそうです。
そして、ふつうのクリームコロッケと同じように小麦粉をまぶして、溶き卵をつけます。
そして、衣はパン粉ではなくて、パンそのまま。
これが、揚げたときに独特のカリッとした衣になるわけです。
最後にパンの表面に格子状に切れ目を入れます。火が通りやすいように、というのが本来なのでしょうが、この格子模様が道頓堀界隈のタテヨコの路地のようだというので「道頓堀コロッケ」という、という話は今日初めて聞きました。
そして、これをいったんラップで包んでおきます。これでパンの衣がよくなじむというわけです。
この状態で冷蔵庫に寝かせておいて、お客様の注文があれば油で揚げます。ふつうのコロッケよりはるかに大きいので、揚がるまで8分から10分かかるそうです。
生地を練るところから、この下ごしらえ、そして最後にじっくり揚げるところまで、ずいぶんと手がかかってます。この大きさとこの手間で520円(税込み)というのはずいぶん安いなあと思いました。お出しする側の立場としては。
この道頓堀コロッケ、居酒屋部の常連さんには人気の定番です。かなり大きいけど、一人でまるごと食べてしまうお客様もけっこうおられるようです。やっぱり手がかかっている商品は皆さんよくおわかりです。
残念ながら、完成品の写真がありませんでした。また今度コロッケの生地を取材するときにでもご紹介しましょう。
posted by くいだおれ太郎 at 21:43| Comment(0)
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2008年04月23日
居酒屋部 その1
今日は、開店前の居酒屋部をご紹介しましょう。
「大阪名物くいだおれ」の居酒屋は、全部門中いちばん若いスタッフがやってます。
調理長の野里くんはまだ40前、二番手の西田くんと店長の高橋くんも30代半ばです。
居酒屋という部門は単品で扱う種類が多く、「くいだおれ」でもかなり絞っても100点は軽く超えてしまいます。また、その日の市場の具合でレギュラーのメニューにない食材を仕入れることもあり、日々、商品が変化する部門です。
それだけに、厨房とホールの打合せは欠かせません。ホールからは「これを売りたい」、厨房からは「これを売ってほしい」と、それぞれリクエストがあり、毎日毎日、お客様におすすめする商品などを打ち合わせています。
そしてそれを反映させて、野里調理長が「今日のおすすめ」を書くわけです。
「わし、字ィ下手やから写さんといてくださいよー」というのにかまわず、執筆中を撮影。
でも、調理長の「今日のおすすめ」は、あまりきれいな字でなくてもいいですよね。ちょっと歪んだりしているくらいが「味」。プロの字書き屋さんではなく、調理長自ら、というのが居酒屋の味ですよね。
割烹や高級フレンチとなると、メニューをきれいに書くのも調理長のたしなみだそうですが、居酒屋は気楽なところが値打ちです。
でも、この雰囲気は「居酒屋の打合せ」というより、編集者が原稿を待っているような感じです。
左から店長の高橋くん、厨房2番手の西田くん、野里調理長。
そして、やはり仕入部との打合せも欠かせません。これは、野里調理長 vs 山田仕入主任。山田主任は社長の次男です。ファーストネームから「哲さん」「哲ちゃん」と呼ばれてます。部長の峯村が主に水産物、山田は主に青果物を担当してます。
「大阪名物くいだおれ」の居酒屋は、全部門中いちばん若いスタッフがやってます。
調理長の野里くんはまだ40前、二番手の西田くんと店長の高橋くんも30代半ばです。
居酒屋という部門は単品で扱う種類が多く、「くいだおれ」でもかなり絞っても100点は軽く超えてしまいます。また、その日の市場の具合でレギュラーのメニューにない食材を仕入れることもあり、日々、商品が変化する部門です。
それだけに、厨房とホールの打合せは欠かせません。ホールからは「これを売りたい」、厨房からは「これを売ってほしい」と、それぞれリクエストがあり、毎日毎日、お客様におすすめする商品などを打ち合わせています。
そしてそれを反映させて、野里調理長が「今日のおすすめ」を書くわけです。
「わし、字ィ下手やから写さんといてくださいよー」というのにかまわず、執筆中を撮影。
でも、調理長の「今日のおすすめ」は、あまりきれいな字でなくてもいいですよね。ちょっと歪んだりしているくらいが「味」。プロの字書き屋さんではなく、調理長自ら、というのが居酒屋の味ですよね。
割烹や高級フレンチとなると、メニューをきれいに書くのも調理長のたしなみだそうですが、居酒屋は気楽なところが値打ちです。
でも、この雰囲気は「居酒屋の打合せ」というより、編集者が原稿を待っているような感じです。
左から店長の高橋くん、厨房2番手の西田くん、野里調理長。
そして、やはり仕入部との打合せも欠かせません。これは、野里調理長 vs 山田仕入主任。山田主任は社長の次男です。ファーストネームから「哲さん」「哲ちゃん」と呼ばれてます。部長の峯村が主に水産物、山田は主に青果物を担当してます。
posted by くいだおれ太郎 at 23:03| Comment(0)
| 日記
類似品にご注意ください
こちらへの書き込みでも情報いただきましたが、インターネット上で、「くいだおれ」を名乗る商品や「くいだおれ太郎」グッズの類似商品が出回っているようです。
食材についても、「くいだおれで使用しているもの」が出回ることはありませんので、ご注意ください。
また「くいだおれ太郎」グッズの類似品も多く出回っており、ネットオークションにも多数かかっているようです。
「くいだおれ太郎」を連想させるような紅白の縞模様の衣装、三角帽子、あるいは紅白の水玉柄の衣装、三角帽子とかを使用したまぎらわしい商品につきましては、これまでも商標権の侵害として、製造販売の差止めや訴訟をかけているものも多々ございます。
中には類似品ではなく、弊社の商標(「くいだおれ太郎」のキャラクター)をそのまま用いた貯金箱なども出回ったことがあり、そうした商品についてはすでに製造販売を差し止めております。
弊社では、「くいだおれ太郎」のキャラクターにつきましては平面・立体とも商標登録しており、権利侵害については厳しく対応いたしております。
類似品のご購入に際してはくれぐれもご注意いただきますよう、お願いいたします。
食材についても、「くいだおれで使用しているもの」が出回ることはありませんので、ご注意ください。
また「くいだおれ太郎」グッズの類似品も多く出回っており、ネットオークションにも多数かかっているようです。
「くいだおれ太郎」を連想させるような紅白の縞模様の衣装、三角帽子、あるいは紅白の水玉柄の衣装、三角帽子とかを使用したまぎらわしい商品につきましては、これまでも商標権の侵害として、製造販売の差止めや訴訟をかけているものも多々ございます。
中には類似品ではなく、弊社の商標(「くいだおれ太郎」のキャラクター)をそのまま用いた貯金箱なども出回ったことがあり、そうした商品についてはすでに製造販売を差し止めております。
弊社では、「くいだおれ太郎」のキャラクターにつきましては平面・立体とも商標登録しており、権利侵害については厳しく対応いたしております。
類似品のご購入に際してはくれぐれもご注意いただきますよう、お願いいたします。
posted by くいだおれ太郎 at 22:36| Comment(4)
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2008年04月22日
本日のお客様「メレンゲの気持ち」
今日は、日本テレビ「メレンゲの気持ち」の取材・撮影がありました。
石塚英彦さん登場。生でお目にかかると、ほんとに「大きい」です。テレビで見てわかっていることですが、やっぱり実際お目にかかると、ほんとに大きい方でびっくりしました。
一言しゃべるたびに、爆笑。番組収録を拝見しているんだか、無料で寄席を見ているんだかわからない感じです。たぶん、本放送の何倍か笑わせていただいたと思います。
スタッフも笑ってます。残念ながら、石塚さんの姿はブログに出すことはできないということで、撮影隊の後ろ姿だけ。
今回の撮影で、まずご注目は「新玉葱の鱧(はも)射込み」です。
「くいだおれ」の会席では、季節の野菜を丸ごとつかったお料理を目玉にしています。
今月の目玉は新玉葱。その中をくりぬいて、鱧を射込んであります。
竹間調理長の口上をそのまま引用しますと、
「春の季節野菜といえば、新玉葱。玉葱といえば、淡路島。そして淡路といえば、鱧。鱧と玉葱はとても相性がいいんです。だから、鱧の付け合わせにはよく玉葱を使います。
淡路の玉葱はとくに甘くておいしいんですが。それをくりぬいて、鱧の身を詰めて、特製の出汁でことこと、ことこと煮込みました。
鱧は骨が細かくて固いので、それを包丁できれいに切ってやるのも、職人の腕の見せ所です。
そして、仕上げに梅肉の餡(あん)をかけてあります。鱧と梅肉も、これまたよく合うんです。」
この「新玉葱の鱧射込み」、ほんとにやわらかくてホームページ用の撮影も難儀しました。中が見えるようにきれいに切るのも難しいし、お皿を動かす間にもくずれてしまいそうです。
番組ではどのように放送されるのでしょうか。石塚さんのコメントをお楽しみに。
石塚英彦さん登場。生でお目にかかると、ほんとに「大きい」です。テレビで見てわかっていることですが、やっぱり実際お目にかかると、ほんとに大きい方でびっくりしました。
一言しゃべるたびに、爆笑。番組収録を拝見しているんだか、無料で寄席を見ているんだかわからない感じです。たぶん、本放送の何倍か笑わせていただいたと思います。
スタッフも笑ってます。残念ながら、石塚さんの姿はブログに出すことはできないということで、撮影隊の後ろ姿だけ。
今回の撮影で、まずご注目は「新玉葱の鱧(はも)射込み」です。
「くいだおれ」の会席では、季節の野菜を丸ごとつかったお料理を目玉にしています。
今月の目玉は新玉葱。その中をくりぬいて、鱧を射込んであります。
竹間調理長の口上をそのまま引用しますと、
「春の季節野菜といえば、新玉葱。玉葱といえば、淡路島。そして淡路といえば、鱧。鱧と玉葱はとても相性がいいんです。だから、鱧の付け合わせにはよく玉葱を使います。
淡路の玉葱はとくに甘くておいしいんですが。それをくりぬいて、鱧の身を詰めて、特製の出汁でことこと、ことこと煮込みました。
鱧は骨が細かくて固いので、それを包丁できれいに切ってやるのも、職人の腕の見せ所です。
そして、仕上げに梅肉の餡(あん)をかけてあります。鱧と梅肉も、これまたよく合うんです。」
この「新玉葱の鱧射込み」、ほんとにやわらかくてホームページ用の撮影も難儀しました。中が見えるようにきれいに切るのも難しいし、お皿を動かす間にもくずれてしまいそうです。
番組ではどのように放送されるのでしょうか。石塚さんのコメントをお楽しみに。
posted by くいだおれ太郎 at 22:19| Comment(2)
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2008年04月21日
割烹部の調理場 その3 蓬豆腐
椀ものは日本料理の華。
椀ものというのは、見た目が地味だし、味も薄味で、会席のコースのなかではなんとなく過ぎ去ってしまう印象です。
が、会席料理では調理人が一番力を入れるものといってもよい一品。
今月の会席の椀ものは、蓬(よもぎ)豆腐を大豆のシートでくるんで、蒸したもののお吸い物。
蓬豆腐っていうのは、ごま豆腐に蓬が入ったものと思っていただければ。
まず、蓬豆腐を切り分けて、
大豆シートの上に置いて、下ごしらえした筍とワカメをのせます。ワカメと筍は、セットで「若竹」と呼んで、和食の春の定番コンビです。「若竹メバル」といえば、旬のメバルの煮付けにワカメと筍を添えた一品。などなど。
この大豆シートというのは、大豆を粉にしてシート状にしたものだそうです。「くいだおれ」でも初めて使う食材です。
そして、これをくるむ。
これを蒸し器で蒸すと、こんなふうにぴったりと豆腐を包み込む感じになります。
春の山菜を添えて、最後に吸い地(吸い物のおつゆのこと)を張って出来上がり。
会席の椀もの、「あっという間に食べちゃった」とおっしゃるお客様も多いです。
気がついたらお椀が空っぽになっていたと。
そういうの、調理場は喜びます。よい吸い物は、おいしいカツオ昆布出汁がベースですが、すうーっと、体にしみこむように飲んでいただければ上手にできた証拠。
担当は、吉岡くんでした。
椀ものというのは、見た目が地味だし、味も薄味で、会席のコースのなかではなんとなく過ぎ去ってしまう印象です。
が、会席料理では調理人が一番力を入れるものといってもよい一品。
今月の会席の椀ものは、蓬(よもぎ)豆腐を大豆のシートでくるんで、蒸したもののお吸い物。
蓬豆腐っていうのは、ごま豆腐に蓬が入ったものと思っていただければ。
まず、蓬豆腐を切り分けて、
大豆シートの上に置いて、下ごしらえした筍とワカメをのせます。ワカメと筍は、セットで「若竹」と呼んで、和食の春の定番コンビです。「若竹メバル」といえば、旬のメバルの煮付けにワカメと筍を添えた一品。などなど。
この大豆シートというのは、大豆を粉にしてシート状にしたものだそうです。「くいだおれ」でも初めて使う食材です。
そして、これをくるむ。
これを蒸し器で蒸すと、こんなふうにぴったりと豆腐を包み込む感じになります。
春の山菜を添えて、最後に吸い地(吸い物のおつゆのこと)を張って出来上がり。
会席の椀もの、「あっという間に食べちゃった」とおっしゃるお客様も多いです。
気がついたらお椀が空っぽになっていたと。
そういうの、調理場は喜びます。よい吸い物は、おいしいカツオ昆布出汁がベースですが、すうーっと、体にしみこむように飲んでいただければ上手にできた証拠。
担当は、吉岡くんでした。
posted by くいだおれ太郎 at 22:57| Comment(0)
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2008年04月20日
ざこば その3
中央市場で、いつも最後に寄るのが「たこ清」さん。
その名のとおり、蛸のお店。
ご主人は二代目さんです。
真蛸の旬は夏。
最盛期には、明石の蛸、淡路の蛸が並びます。淡路というのは、南淡路に揚がる蛸です。
真蛸はなんといっても明石が最高と言われますが、確かに旬の明石の蛸は最高。薄造りにして、沸騰直前のお湯にさっとくぐらせて冷水にさらし、梅肉でいただくのがたまりません。その「梅肉」も、梅干しを裏ごししたものに味付けをしたものが、その店ごとの「味」になります。
でも、淡路の蛸もかなりのものです。大阪で手に入る蛸の中では、明石、淡路が1、2というところでしょうか。
蛸は養殖というものがないだけに、季節によって値段が何倍も変わることがあるのが難点です。あと、満月の夜は蛸が捕れなくて値段が上がるとか。
こちら、おかみさんです。
たこ清さんは名前のとおり蛸屋さんですが、マグロもいいのを扱ってます。
「くいだおれ」では、生のマグロはおもにたこ清さんから仕入れています。
マグロ売り場のお兄さんたちです。
いつも大きなマグロの身が台に乗っていて、「これはオースト(オーストラリア)」、「これは地中海」、とか、教えてくれます。生の本マグロは畜養が多いようですが、天然の本マグロ、ここでは勝浦のが多いですが、とか、インドマグロなんかの身を見ると、やっぱりきれいです。赤身の部分に透明感があって澄んだ感じ。
それから、キハダマグロの生というのもきれいです。良い値段しますが。
「ぶちょー(峯村のこと)、今日はこんだけしかありませんの? 大きいの、くいだおれさん用にとってありますのに」
「もっと勉強してくれんと、よう買わんで」
「そんな、よそは○○でっせ(キロあたりの単価)。くいだおれさんやからこの値段にしてますねんでー」
というのがお決まりのような会話。
で、「あかん、あかん、そんなもん」となるか、「ええわ、ほんなら買うたるわ。いっしょに入れといて」となるかは、そのとき次第。良い物があれば、調理場からの注文がなくても買って、調理場に入れたりするようです。あるいは、おすすめのもののしっぽのほうのかたまりをおまけしてくれることもあります。
もっとも、調理場は「峯さん、また高いの入れてきたわー。原価計算合わんようになるがな」とぼやいたりするみたいですが。
これはマグロをさばくのに使う包丁。包丁というより、日本刀です。研ぎ減って、刃の幅がもとの三分の一以下になってしまったということです。プロの包丁はほんとに「使い倒す」って感じです。
その名のとおり、蛸のお店。
ご主人は二代目さんです。
真蛸の旬は夏。
最盛期には、明石の蛸、淡路の蛸が並びます。淡路というのは、南淡路に揚がる蛸です。
真蛸はなんといっても明石が最高と言われますが、確かに旬の明石の蛸は最高。薄造りにして、沸騰直前のお湯にさっとくぐらせて冷水にさらし、梅肉でいただくのがたまりません。その「梅肉」も、梅干しを裏ごししたものに味付けをしたものが、その店ごとの「味」になります。
でも、淡路の蛸もかなりのものです。大阪で手に入る蛸の中では、明石、淡路が1、2というところでしょうか。
蛸は養殖というものがないだけに、季節によって値段が何倍も変わることがあるのが難点です。あと、満月の夜は蛸が捕れなくて値段が上がるとか。
こちら、おかみさんです。
たこ清さんは名前のとおり蛸屋さんですが、マグロもいいのを扱ってます。
「くいだおれ」では、生のマグロはおもにたこ清さんから仕入れています。
マグロ売り場のお兄さんたちです。
いつも大きなマグロの身が台に乗っていて、「これはオースト(オーストラリア)」、「これは地中海」、とか、教えてくれます。生の本マグロは畜養が多いようですが、天然の本マグロ、ここでは勝浦のが多いですが、とか、インドマグロなんかの身を見ると、やっぱりきれいです。赤身の部分に透明感があって澄んだ感じ。
それから、キハダマグロの生というのもきれいです。良い値段しますが。
「ぶちょー(峯村のこと)、今日はこんだけしかありませんの? 大きいの、くいだおれさん用にとってありますのに」
「もっと勉強してくれんと、よう買わんで」
「そんな、よそは○○でっせ(キロあたりの単価)。くいだおれさんやからこの値段にしてますねんでー」
というのがお決まりのような会話。
で、「あかん、あかん、そんなもん」となるか、「ええわ、ほんなら買うたるわ。いっしょに入れといて」となるかは、そのとき次第。良い物があれば、調理場からの注文がなくても買って、調理場に入れたりするようです。あるいは、おすすめのもののしっぽのほうのかたまりをおまけしてくれることもあります。
もっとも、調理場は「峯さん、また高いの入れてきたわー。原価計算合わんようになるがな」とぼやいたりするみたいですが。
これはマグロをさばくのに使う包丁。包丁というより、日本刀です。研ぎ減って、刃の幅がもとの三分の一以下になってしまったということです。プロの包丁はほんとに「使い倒す」って感じです。
posted by くいだおれ太郎 at 22:29| Comment(0)
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2008年04月19日
ざこば その2
中央市場の続きです。
まずは、三原商店。
「くいだおれ」では、ウニはもっぱら三原商店さんから仕入れています。
ほかに、カニの棒肉とか、白魚とか。カニの棒肉というのは、カニの脚の肉をきれいに抜き出したものです。三原さんの店では、カニで有名な兵庫北部の香住のものをよく見ます。
三原商店のご主人です。
和食だけでなく、イタリアンにも詳しくて、いろいろ教えてもらっています。
「寿司で使うウニは型くずれせんようにミョウバン使ってるけど、ほんまはミョウバン使ってへんほうが美味しいんやで。ただ、どうしても型くずれしてミバ(見栄え)がようないけど。イタリアンのウニのパスタみたいに火ぃ入れるもんは、やっぱりミョウバン使うてないほうが、ぜったい香りがええわ。」
とか。
そして、お向かいがカネト尾上商店。
いまの季節は、主にイクラを仕入れています。
こちらからは貝類とか淡水魚などを仕入れることが多いのですが、4月はちょうど端境期です。冬の貝類の旬が終わって、淡水魚の旬は連休明けくらいから。こないだまでナマコとか、はまぐりとか。もうちょっとしたら、鮎の季節です。
貝類は旬が二回あるものもあるなんてことを教えてもらってます。
ここはまた、シーズンになったら再取材しましょう。
こちら、カネトさんのご主人です。
まずは、三原商店。
「くいだおれ」では、ウニはもっぱら三原商店さんから仕入れています。
ほかに、カニの棒肉とか、白魚とか。カニの棒肉というのは、カニの脚の肉をきれいに抜き出したものです。三原さんの店では、カニで有名な兵庫北部の香住のものをよく見ます。
三原商店のご主人です。
和食だけでなく、イタリアンにも詳しくて、いろいろ教えてもらっています。
「寿司で使うウニは型くずれせんようにミョウバン使ってるけど、ほんまはミョウバン使ってへんほうが美味しいんやで。ただ、どうしても型くずれしてミバ(見栄え)がようないけど。イタリアンのウニのパスタみたいに火ぃ入れるもんは、やっぱりミョウバン使うてないほうが、ぜったい香りがええわ。」
とか。
そして、お向かいがカネト尾上商店。
いまの季節は、主にイクラを仕入れています。
こちらからは貝類とか淡水魚などを仕入れることが多いのですが、4月はちょうど端境期です。冬の貝類の旬が終わって、淡水魚の旬は連休明けくらいから。こないだまでナマコとか、はまぐりとか。もうちょっとしたら、鮎の季節です。
貝類は旬が二回あるものもあるなんてことを教えてもらってます。
ここはまた、シーズンになったら再取材しましょう。
こちら、カネトさんのご主人です。
posted by くいだおれ太郎 at 22:22| Comment(1)
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2008年04月18日
割烹部の調理場 その2 鯛のあら煮
鯛のあら煮(大阪では「あらだき」と呼ぶことが多い)は、「大阪名物くいだおれ」の隠れた人気商品です。常連さんたちの間で、知る人ぞ知る「名物」です。
今日は予約だけであら煮が140人分。それを炊くところを写真撮らせてもらいました。おもに煮方を担当する中野くんです。
鯛のアラは熱湯にくぐらせて、それから冷水にさらします。「霜降り」という作業ですが、これで余計な血やあくを抜きます。それを、まんべんなく火がとおり味がつくように、大きな鍋にきれいに並べてゆきます。今日はこの鍋が6杯。
ショウガと水、酒を入れて、落としぶたをして、強火で数分。アクをとって、醤油と砂糖を入れます。
ふたたび、落としぶたをして数分。
さらにアクを取って、たまり醤油を足して、煮汁をかけながら煮ます。根気よく、何回も何回も煮汁をかけます。
そして、煮汁が少なくなって、鯛に照りがついてきたらできあがり。
ここまで火はずっとフル・バーナーです。むやみに時間をかけずに、できるだけ手早くやるのがポイントということです。あまりゆっくりやっていると、鯛の味が抜けてしまうからだそうですが、このあたりの加減は、やはり経験です。
中野くん、ほかの仕事をしたり、指図をしたりしながら、鍋の仕事をすすめてゆきます。最後の煮汁をかけながら、はほとんど付きっきりですが、手早く、1時間半ほどで鍋6つ、140人分を炊き上げてしまいました。
鯛のあら煮、酒飲みにはこたえられない肴ですね。ほほ肉とか目のまわりとか、うまみやコラーゲンぎっしり。手早く炊き上げて、鯛の味やうまみを逃さないのがプロの技ってことですね。しかし、この鍋の大きさと量にはおどろきでした。
今日は予約だけであら煮が140人分。それを炊くところを写真撮らせてもらいました。おもに煮方を担当する中野くんです。
鯛のアラは熱湯にくぐらせて、それから冷水にさらします。「霜降り」という作業ですが、これで余計な血やあくを抜きます。それを、まんべんなく火がとおり味がつくように、大きな鍋にきれいに並べてゆきます。今日はこの鍋が6杯。
ショウガと水、酒を入れて、落としぶたをして、強火で数分。アクをとって、醤油と砂糖を入れます。
ふたたび、落としぶたをして数分。
さらにアクを取って、たまり醤油を足して、煮汁をかけながら煮ます。根気よく、何回も何回も煮汁をかけます。
そして、煮汁が少なくなって、鯛に照りがついてきたらできあがり。
ここまで火はずっとフル・バーナーです。むやみに時間をかけずに、できるだけ手早くやるのがポイントということです。あまりゆっくりやっていると、鯛の味が抜けてしまうからだそうですが、このあたりの加減は、やはり経験です。
中野くん、ほかの仕事をしたり、指図をしたりしながら、鍋の仕事をすすめてゆきます。最後の煮汁をかけながら、はほとんど付きっきりですが、手早く、1時間半ほどで鍋6つ、140人分を炊き上げてしまいました。
鯛のあら煮、酒飲みにはこたえられない肴ですね。ほほ肉とか目のまわりとか、うまみやコラーゲンぎっしり。手早く炊き上げて、鯛の味やうまみを逃さないのがプロの技ってことですね。しかし、この鍋の大きさと量にはおどろきでした。
posted by くいだおれ太郎 at 23:17| Comment(1)
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2008年04月17日
すき焼き その2 上方風
では、すき焼きを焼いてもらいましょう。
「大阪名物くいだおれ」のすき焼きは、割り下を使わない上方風(かみがたふう)。
といっても、もともとすき焼きはこういう焼き方だったので、その本家さんがわざわざ「上方風」と呼ばれるのも妙な感じです。
昔は、関西のおうちですき焼きをするときはどこもこの「上方風」だったそうですが、今はこのやり方で焼ける方も少なくなっているようです。当然、「大阪名物くいだおれ」ではちゃんと仲居が焼きますので、ご心配なく。
うちのお鍋は砲金。「砲金(ほうきん)とは銅と錫の合金の一種で、大砲の砲身に使われたからだとか、英語の「ガンメタル」の翻訳であるとか。「ガンメタル」というと、ふつうもっと暗い色を連想しますが、違うものなのでしょうか?
ともかくも、分厚くて、やわらかく火が回るお鍋です。上方風は、分厚い鍋でないとすぐ焦げ付いて焼けません。
まずはこの鍋を熱くして、牛の脂を塗り込みます。
脂が溶けてきたら、お砂糖をぱらぱらと
それからお肉を焼きます。ここまで、ずっと強火です。
そしてお醤油を適量。
この加減がなかなか難しい。焦げちゃいけないと思って、ついついよけいに醤油を入れてしまうと、辛くなりすぎ。ここは仲居の腕の見せ所です。
これで、色が変わったら焼き上がり。第1ラウンド終了です。
いったんお肉を引き上げて、召し上がっていただいて、第2ラウンドへ。
第2ラウンドでは、野菜を入れます。
まずは、ささがき牛蒡から。さきほどの肉の肉汁が出てますので、牛蒡がそのうまみをたっぷり吸い込みます。
あとは、糸こんにゃく、タマネギ、ネギ、白菜など。
野菜を入れたら、またお砂糖と醤油を少々。
そうすると、野菜の水気が出てきます。水気が多少あって、焦げ付かないあいだに次のお肉を投入。また、お砂糖と醤油で味付けを少々。
いよいよ、宴会本番って感じになってきましたね。野菜が肉のうまみを吸って、肉は野菜の水気でうまいぐあいに焼けてゆきます。
どうです、いい感じでしょう。
あとは、お野菜とお肉と、お鍋から取った分だけ足していって、その都度お砂糖と醤油を足しながら。もし、火が強くて焦げ付きそうになったら、「かんざ」(燗冷ましの日本酒)を少々。
「上方風すきやき」は、砂糖や醤油をたくさん使うように見えますが、それでいて案外甘ったるくもなく、辛くもないものです。見た目ほど砂糖も醤油も多くないというか、ほかのお料理や割り下のほうが、実はびっくりするほど砂糖や醤油を使っているというか。
「大阪名物くいだおれ」ですき焼きを召し上がるときは、仲居が「甘めにしますか、辛い目がいいですか」などと、加減を伺ってそれにあわせて焼きますので、お好みをおっしゃってください。
(ご注意)
ここでご紹介したすき焼きは、弊店4階〜8階のお座敷のメニューです。3階和定食部でお出ししているものはこれとは違うものです。ご了承くださいませ。
「大阪名物くいだおれ」のすき焼きは、割り下を使わない上方風(かみがたふう)。
といっても、もともとすき焼きはこういう焼き方だったので、その本家さんがわざわざ「上方風」と呼ばれるのも妙な感じです。
昔は、関西のおうちですき焼きをするときはどこもこの「上方風」だったそうですが、今はこのやり方で焼ける方も少なくなっているようです。当然、「大阪名物くいだおれ」ではちゃんと仲居が焼きますので、ご心配なく。
うちのお鍋は砲金。「砲金(ほうきん)とは銅と錫の合金の一種で、大砲の砲身に使われたからだとか、英語の「ガンメタル」の翻訳であるとか。「ガンメタル」というと、ふつうもっと暗い色を連想しますが、違うものなのでしょうか?
ともかくも、分厚くて、やわらかく火が回るお鍋です。上方風は、分厚い鍋でないとすぐ焦げ付いて焼けません。
まずはこの鍋を熱くして、牛の脂を塗り込みます。
脂が溶けてきたら、お砂糖をぱらぱらと
それからお肉を焼きます。ここまで、ずっと強火です。
そしてお醤油を適量。
この加減がなかなか難しい。焦げちゃいけないと思って、ついついよけいに醤油を入れてしまうと、辛くなりすぎ。ここは仲居の腕の見せ所です。
これで、色が変わったら焼き上がり。第1ラウンド終了です。
いったんお肉を引き上げて、召し上がっていただいて、第2ラウンドへ。
第2ラウンドでは、野菜を入れます。
まずは、ささがき牛蒡から。さきほどの肉の肉汁が出てますので、牛蒡がそのうまみをたっぷり吸い込みます。
あとは、糸こんにゃく、タマネギ、ネギ、白菜など。
野菜を入れたら、またお砂糖と醤油を少々。
そうすると、野菜の水気が出てきます。水気が多少あって、焦げ付かないあいだに次のお肉を投入。また、お砂糖と醤油で味付けを少々。
いよいよ、宴会本番って感じになってきましたね。野菜が肉のうまみを吸って、肉は野菜の水気でうまいぐあいに焼けてゆきます。
どうです、いい感じでしょう。
あとは、お野菜とお肉と、お鍋から取った分だけ足していって、その都度お砂糖と醤油を足しながら。もし、火が強くて焦げ付きそうになったら、「かんざ」(燗冷ましの日本酒)を少々。
「上方風すきやき」は、砂糖や醤油をたくさん使うように見えますが、それでいて案外甘ったるくもなく、辛くもないものです。見た目ほど砂糖も醤油も多くないというか、ほかのお料理や割り下のほうが、実はびっくりするほど砂糖や醤油を使っているというか。
「大阪名物くいだおれ」ですき焼きを召し上がるときは、仲居が「甘めにしますか、辛い目がいいですか」などと、加減を伺ってそれにあわせて焼きますので、お好みをおっしゃってください。
(ご注意)
ここでご紹介したすき焼きは、弊店4階〜8階のお座敷のメニューです。3階和定食部でお出ししているものはこれとは違うものです。ご了承くださいませ。
posted by くいだおれ太郎 at 22:26| Comment(1)
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2008年04月16日
「くいだおれ太郎の商標権等について」
本日、「大阪名物くいだおれ」ホームページに、商標権などに関するお問い合わせの窓口を設置しました。
さっそく、メディアの皆様からお問い合わせをたくさんいただいたのですが、日中はテレビの取材が入っていたり、連日の忙しさでてんてこまいしてまして、夕方からようやく、役員それぞれ手分けしてお電話で取材対応させていただいた次第です。
メディア各社からのお問い合わせも、日に日に多くなってゆく感じです。
また、いろいろお問い合わせ、ご提案いただいている方々にも、いまだ十分にご対応できておらず、申し訳なく思っております。
役員3名がそろって打ち合わせをするという時間もなかなかとれずにいる次第です。
もし、このブログをご覧いただいておりましたら、あらためてお詫びもうしあげます。
さて、今日メディアの方々からは、商標や「太郎」の「売却」について、「専門家のチームを作ったのか?」とか、「どういう選考基準なのか?」と、お問い合わせをいただいたのですが、今のところ「商標について関心がある」とか「こういうところからお話がある」ということをお聴きしている段階で、具体的なお話にとりかかるところまでいたっておりません。そもそも、どんなお話をいただいているのかさえ、きちんとお聴きできていない状態です。
「専門家チーム」というのも、そういう報道になっているようですが、現実に「チーム」を作って一同に会して「選考」するというようなことではなくて、これから、いただいたお話をお伺いして、必要に応じて顧問の先生とか、おつきあいのある専門家の先生方にご相談する、という程度です。
なにせ、役員といっても日々の仕事をかかえておりまして、この数日大勢のお客様においでいただいて現場が忙しくなっているにつれて、いっしょになってバタバタしております。
家内工業みたいなものですから、役員が釣り銭の両替に銀行へ走ったり、店内の飾り付けの手直しをしたり、お客様のお皿を下げたり、てな感じです。
そんなわけで、ようやくオファーいただく窓口を作ったという段階で、いまだにきちんとご連絡もできず、またメディアの皆様にも「まだ何もわかりません」という愛想のないお答えしかできない状態で、どちらにも申し訳なく思っております。
早いところ、何かお答えできるようにしたい、と役員らも考えてはおりますが、まだなかなかです。
今日はすき焼きを焼くところをご紹介しようと思ったのですが、なんだか「おわび」ブログになってしまいました。
まだまだ、「大阪名物くいだおれの仕事」、ご紹介してゆきますので、よろしくおつきあいくださいませ。
さっそく、メディアの皆様からお問い合わせをたくさんいただいたのですが、日中はテレビの取材が入っていたり、連日の忙しさでてんてこまいしてまして、夕方からようやく、役員それぞれ手分けしてお電話で取材対応させていただいた次第です。
メディア各社からのお問い合わせも、日に日に多くなってゆく感じです。
また、いろいろお問い合わせ、ご提案いただいている方々にも、いまだ十分にご対応できておらず、申し訳なく思っております。
役員3名がそろって打ち合わせをするという時間もなかなかとれずにいる次第です。
もし、このブログをご覧いただいておりましたら、あらためてお詫びもうしあげます。
さて、今日メディアの方々からは、商標や「太郎」の「売却」について、「専門家のチームを作ったのか?」とか、「どういう選考基準なのか?」と、お問い合わせをいただいたのですが、今のところ「商標について関心がある」とか「こういうところからお話がある」ということをお聴きしている段階で、具体的なお話にとりかかるところまでいたっておりません。そもそも、どんなお話をいただいているのかさえ、きちんとお聴きできていない状態です。
「専門家チーム」というのも、そういう報道になっているようですが、現実に「チーム」を作って一同に会して「選考」するというようなことではなくて、これから、いただいたお話をお伺いして、必要に応じて顧問の先生とか、おつきあいのある専門家の先生方にご相談する、という程度です。
なにせ、役員といっても日々の仕事をかかえておりまして、この数日大勢のお客様においでいただいて現場が忙しくなっているにつれて、いっしょになってバタバタしております。
家内工業みたいなものですから、役員が釣り銭の両替に銀行へ走ったり、店内の飾り付けの手直しをしたり、お客様のお皿を下げたり、てな感じです。
そんなわけで、ようやくオファーいただく窓口を作ったという段階で、いまだにきちんとご連絡もできず、またメディアの皆様にも「まだ何もわかりません」という愛想のないお答えしかできない状態で、どちらにも申し訳なく思っております。
早いところ、何かお答えできるようにしたい、と役員らも考えてはおりますが、まだなかなかです。
今日はすき焼きを焼くところをご紹介しようと思ったのですが、なんだか「おわび」ブログになってしまいました。
まだまだ、「大阪名物くいだおれの仕事」、ご紹介してゆきますので、よろしくおつきあいくださいませ。
posted by くいだおれ太郎 at 22:35| Comment(0)
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2008年04月15日
すき焼き その1
サンデー・ジャポンからの話題のつづきは、すき焼きです。
「大阪名物くいだおれ」のすき焼きは、開店の年から続いている名物料理です。
その「名物」の理由のひとつは、これが「上方風すき焼き」であること。
すなわち、割り下を使うのではなくて、醤油と砂糖と「かんざ」つまり燗冷ましの日本酒で焼き上げること。
そして、理由の二つめは、創業者の山田六郎がひじょうに奇抜な宣伝をしてこれを売り出したこと。
このくだり、ちょっと長いのですが、「大阪名物くいだおれ」の公式社史『ばかたれ、しっかりせ』(講談社)から引用しましょう。
***************************
ある日、
山田六郎氏はどこやらから牛を一頭、
生きているやつをつれてきた。
それからねぎをたくさんと、
おおきな南部鉄の平なべを仕入れてきた。
店員を十人ばかりあつめて、
ちんどん屋の扮装をさせた。
牛に鍋とねぎを背負わせて、
ひとりに牛を牽かせて、
あとは「すきやき」と書いた幟(のぼり)をかつがせて、
牛のあとについてあるかせた。
行列がえびす橋にさしかかったころに、
巡査がとんでやってきた。
こんなところで牛を牽いてはいかん。
車馬通行止メと書いてあるのがわからんか。
なにごとや、と人があつまりはじめたころに、
山田六郎氏がえびす顔をぶらさげてあらわれた。
おたくの従業員と牛をなんとかしてほしい、
と言われて、
山田六郎氏は標識をしげしげとながめた。
そして、言った。
くるまと馬はいかんとは書いてあるが、
牛がいかんとは書いておらん。
そう言って、
山田六郎氏は牛を牽いて、
すたすたと歩きはじめた。
巡査はおいかけてきた。
牛がいかんとは書いていないが、
車馬通行止メというのは
牛もいかんということなのだ、
と言ってやっぱり止めようとした。
そんなことをいわれても、
牛がいかんと、
はっきり書いておるわけではないのだから。
だいいち、牛はええとおもって、
もう牛を連れて来てしもうたのだから。
と言って、山田六郎氏はまた歩きはじめた。
押し問答をしているうちに、
えびす橋のうえは黒山の人だかりになった。
いかんものはいかんのだ。
もっと交通標識を研究したまえ、
と巡査が言うと、
研究せねばわからんような標識のほうが、
まちがっているのや、
と、山田六郎氏は言った。
橋のうえに笑い声と喝采がおこった。
牛がいかんならいかんと、
はっきりそう書いてくれればええのに、
と言いながら、しぶしぶ、
山田六郎氏は牛をひっこめることにした。
くいだおれの親父がな、
牛に鍋背負わせてあるいとってな、
巡査と何やおもろい言いあいしよったで、
と、評判になって、その秋と冬、
くいだおれのすき焼きは大当たりをした。
**************************************
ひとくだり、引用が長くなってしまいました。
このエピソードで「大阪名物くいだおれ」のすき焼きは評判になったということですが、そのほかにも和牛へのこだわりや、「上方風」の焼き方のこだわりなど、創業当時からの「大阪名物くいだおれ」のこだわりがそのまま残っているメニューです。
お肉の話や、焼き方のこだわりについては、また次回。
「大阪名物くいだおれ」のすき焼きは、開店の年から続いている名物料理です。
その「名物」の理由のひとつは、これが「上方風すき焼き」であること。
すなわち、割り下を使うのではなくて、醤油と砂糖と「かんざ」つまり燗冷ましの日本酒で焼き上げること。
そして、理由の二つめは、創業者の山田六郎がひじょうに奇抜な宣伝をしてこれを売り出したこと。
このくだり、ちょっと長いのですが、「大阪名物くいだおれ」の公式社史『ばかたれ、しっかりせ』(講談社)から引用しましょう。
***************************
ある日、
山田六郎氏はどこやらから牛を一頭、
生きているやつをつれてきた。
それからねぎをたくさんと、
おおきな南部鉄の平なべを仕入れてきた。
店員を十人ばかりあつめて、
ちんどん屋の扮装をさせた。
牛に鍋とねぎを背負わせて、
ひとりに牛を牽かせて、
あとは「すきやき」と書いた幟(のぼり)をかつがせて、
牛のあとについてあるかせた。
行列がえびす橋にさしかかったころに、
巡査がとんでやってきた。
こんなところで牛を牽いてはいかん。
車馬通行止メと書いてあるのがわからんか。
なにごとや、と人があつまりはじめたころに、
山田六郎氏がえびす顔をぶらさげてあらわれた。
おたくの従業員と牛をなんとかしてほしい、
と言われて、
山田六郎氏は標識をしげしげとながめた。
そして、言った。
くるまと馬はいかんとは書いてあるが、
牛がいかんとは書いておらん。
そう言って、
山田六郎氏は牛を牽いて、
すたすたと歩きはじめた。
巡査はおいかけてきた。
牛がいかんとは書いていないが、
車馬通行止メというのは
牛もいかんということなのだ、
と言ってやっぱり止めようとした。
そんなことをいわれても、
牛がいかんと、
はっきり書いておるわけではないのだから。
だいいち、牛はええとおもって、
もう牛を連れて来てしもうたのだから。
と言って、山田六郎氏はまた歩きはじめた。
押し問答をしているうちに、
えびす橋のうえは黒山の人だかりになった。
いかんものはいかんのだ。
もっと交通標識を研究したまえ、
と巡査が言うと、
研究せねばわからんような標識のほうが、
まちがっているのや、
と、山田六郎氏は言った。
橋のうえに笑い声と喝采がおこった。
牛がいかんならいかんと、
はっきりそう書いてくれればええのに、
と言いながら、しぶしぶ、
山田六郎氏は牛をひっこめることにした。
くいだおれの親父がな、
牛に鍋背負わせてあるいとってな、
巡査と何やおもろい言いあいしよったで、
と、評判になって、その秋と冬、
くいだおれのすき焼きは大当たりをした。
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ひとくだり、引用が長くなってしまいました。
このエピソードで「大阪名物くいだおれ」のすき焼きは評判になったということですが、そのほかにも和牛へのこだわりや、「上方風」の焼き方のこだわりなど、創業当時からの「大阪名物くいだおれ」のこだわりがそのまま残っているメニューです。
お肉の話や、焼き方のこだわりについては、また次回。
posted by くいだおれ太郎 at 22:48| Comment(1)
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2008年04月14日
たこ焼き教室
さて、昨日の「サンデー・ジャポン」から、まずは「たこ焼き教室」をご紹介いたします。
このオプションもはや12年。「大阪名物くいだおれ」ですっかり人気の商品になりました。
大阪人なら焼けてあたりまえのたこ焼き(本当に誰でも焼けるのかどうかは確認してませんが)。大阪以外の方には大変新鮮なご経験のようで、毎度毎度、大変よろこんでいただいてます。
まず、たこ焼きの生地。これは小麦粉と玉子と出汁、それに調味料でつくります。その配合が、それぞれのお店の個性であり、企業秘密であり、あるいはそれぞれのご家庭の「おふくろの味」だったりします。もっとも今はホットケーキミックスみたいな「たこ焼き粉ミックス」が何種類もありますので、出汁から自分ちでつくるお宅は少ないかもしれませんが。
「大阪名物くいだおれ」のたこ焼きの生地は、玉子が多いのが特徴です。
大阪のお客様がたはそれがわかるようで、「お。ここの生地は玉子が多いな」なんておっしゃる方がけっこうおられます。
「たこ焼き教室」のプレートはこの「教室」用の特注プレート。銅製のなかなかぜいたくなものです。固形燃料に火をつけてこれを熱くして、生地を落としてジュッというくらいになったら一気に生地を流し込みます。
「サンデー・ジャポン」の収録のときに山中アナウンサーが「全部入れたらあふれちゃいますよ」と驚いておられましたが、そうなのです、プレートのくぼみからあふれるように入れるのがポイントです。
次に、タコ、天かす、桜えびなどの具を入れます。これも、くぼみからあふれたところに入れてもかまいません(タコはくぼみのところでないと入りませんが)。この具もお店によりそれぞれですが、欠かせないのが、タコ(当然ですね)と天かすです。ほかには、紅ショウガを入れたりもします。
そうして、ここでしばらくさわらないこと。これがたこ焼きを上手に焼く鉄則です。
だから「たこ焼き教室」では、お客さまが焼きはじめのたこ焼きをいじらないように、「たこ焼き音頭」を踊っていただくのです。
「たこ焼き音頭」は、「日本コナモン協会」(大阪ではたこ焼きとかお好み焼きのように、小麦粉などを溶いて焼いた食べ物を「コナモン」、標準語では「粉もの」といいます)の会長、熊谷真菜さんが作詞作曲されたものです。
「たこ焼き教室」では、「たこ焼き音頭」を踊っていただくこと3分50秒。そして席に戻って、さっきのくぼみからあふれた部分を、くぼみのところに集めてゆきます。
この3分50秒の間に、流し込んだ生地の表面が焼き固まって、こうやってすなおにプレートからはがれるようになるわけです。
そして、この状態で、プレートと生地にあいだに竹串をさしこんで、くぼみにそってくるりとまわすと、あら不思議、きれいなたこ焼きが姿をあらわします。
おわかりいただけるでしょうか。このときに、くぼみのところだけに生地を入れていては、こんなにきれいに丸い形にはならないわけです。
あとは、おなじようにしてくるくる回しながら焼いてゆくだけ。
たこ焼き焼くなんて、やってみると案外簡単なものですよ。
そしてお皿にとって、ソースと青のり、かつおぶし、あとはお好みでマヨネーズをかけて熱々を召し上がっていただきます。
ちなみに、「たこ焼き」の親戚に「明石焼」というのがあります。
「明石焼」は温かい出汁につけて食べるのが標準的な食べ方ですが、粉の配合からして「たこ焼き」とはちょっとちがいます。
明石焼の生地は、小麦粉が少なくて玉子が多いのが特徴です。かつては「卵焼き」と言ったそうですが、そのとおり、出し巻きに近い味わいです。もちろん、タコは入っています。
大阪の「たこ焼き」が、「外はカリッと、中はトロリと」を理想とするのに対して、「明石焼」は表面もやわらかいのが違いです。これはまた違った味わいがあります。
ところで、大阪では「各家庭にかならず一台、たこ焼き器がある」と言われます。
そして、そのたこ焼き器、「むかし大阪ガスがガス普及のために各家庭に配った」という伝説もあります。
そこで大阪ガスさんに問い合わせみたところ、お客様相談室の方がわざわざ調べてくださいました。それによりますと、
「大阪ガスがかつてたこ焼き器を配ったという記録はない」のだそうです。
そのかわり、「20年ほどまえに都市ガスを天然ガスに切り替えていった際、ご家庭でお持ちのたこ焼き器が天然ガス用に切り替えられず、新しいものを無料で、あるいは格安でお渡ししたという経緯があり、そのせいで「配った」という伝説が生まれたのではないでしょうか」、ということでした。
こんなばかばかしい問い合わせにきちんと調べていただいて、ありがとうございました。
このオプションもはや12年。「大阪名物くいだおれ」ですっかり人気の商品になりました。
大阪人なら焼けてあたりまえのたこ焼き(本当に誰でも焼けるのかどうかは確認してませんが)。大阪以外の方には大変新鮮なご経験のようで、毎度毎度、大変よろこんでいただいてます。
まず、たこ焼きの生地。これは小麦粉と玉子と出汁、それに調味料でつくります。その配合が、それぞれのお店の個性であり、企業秘密であり、あるいはそれぞれのご家庭の「おふくろの味」だったりします。もっとも今はホットケーキミックスみたいな「たこ焼き粉ミックス」が何種類もありますので、出汁から自分ちでつくるお宅は少ないかもしれませんが。
「大阪名物くいだおれ」のたこ焼きの生地は、玉子が多いのが特徴です。
大阪のお客様がたはそれがわかるようで、「お。ここの生地は玉子が多いな」なんておっしゃる方がけっこうおられます。
「たこ焼き教室」のプレートはこの「教室」用の特注プレート。銅製のなかなかぜいたくなものです。固形燃料に火をつけてこれを熱くして、生地を落としてジュッというくらいになったら一気に生地を流し込みます。
「サンデー・ジャポン」の収録のときに山中アナウンサーが「全部入れたらあふれちゃいますよ」と驚いておられましたが、そうなのです、プレートのくぼみからあふれるように入れるのがポイントです。
次に、タコ、天かす、桜えびなどの具を入れます。これも、くぼみからあふれたところに入れてもかまいません(タコはくぼみのところでないと入りませんが)。この具もお店によりそれぞれですが、欠かせないのが、タコ(当然ですね)と天かすです。ほかには、紅ショウガを入れたりもします。
そうして、ここでしばらくさわらないこと。これがたこ焼きを上手に焼く鉄則です。
だから「たこ焼き教室」では、お客さまが焼きはじめのたこ焼きをいじらないように、「たこ焼き音頭」を踊っていただくのです。
「たこ焼き音頭」は、「日本コナモン協会」(大阪ではたこ焼きとかお好み焼きのように、小麦粉などを溶いて焼いた食べ物を「コナモン」、標準語では「粉もの」といいます)の会長、熊谷真菜さんが作詞作曲されたものです。
「たこ焼き教室」では、「たこ焼き音頭」を踊っていただくこと3分50秒。そして席に戻って、さっきのくぼみからあふれた部分を、くぼみのところに集めてゆきます。
この3分50秒の間に、流し込んだ生地の表面が焼き固まって、こうやってすなおにプレートからはがれるようになるわけです。
そして、この状態で、プレートと生地にあいだに竹串をさしこんで、くぼみにそってくるりとまわすと、あら不思議、きれいなたこ焼きが姿をあらわします。
おわかりいただけるでしょうか。このときに、くぼみのところだけに生地を入れていては、こんなにきれいに丸い形にはならないわけです。
あとは、おなじようにしてくるくる回しながら焼いてゆくだけ。
たこ焼き焼くなんて、やってみると案外簡単なものですよ。
そしてお皿にとって、ソースと青のり、かつおぶし、あとはお好みでマヨネーズをかけて熱々を召し上がっていただきます。
ちなみに、「たこ焼き」の親戚に「明石焼」というのがあります。
「明石焼」は温かい出汁につけて食べるのが標準的な食べ方ですが、粉の配合からして「たこ焼き」とはちょっとちがいます。
明石焼の生地は、小麦粉が少なくて玉子が多いのが特徴です。かつては「卵焼き」と言ったそうですが、そのとおり、出し巻きに近い味わいです。もちろん、タコは入っています。
大阪の「たこ焼き」が、「外はカリッと、中はトロリと」を理想とするのに対して、「明石焼」は表面もやわらかいのが違いです。これはまた違った味わいがあります。
ところで、大阪では「各家庭にかならず一台、たこ焼き器がある」と言われます。
そして、そのたこ焼き器、「むかし大阪ガスがガス普及のために各家庭に配った」という伝説もあります。
そこで大阪ガスさんに問い合わせみたところ、お客様相談室の方がわざわざ調べてくださいました。それによりますと、
「大阪ガスがかつてたこ焼き器を配ったという記録はない」のだそうです。
そのかわり、「20年ほどまえに都市ガスを天然ガスに切り替えていった際、ご家庭でお持ちのたこ焼き器が天然ガス用に切り替えられず、新しいものを無料で、あるいは格安でお渡ししたという経緯があり、そのせいで「配った」という伝説が生まれたのではないでしょうか」、ということでした。
こんなばかばかしい問い合わせにきちんと調べていただいて、ありがとうございました。
posted by くいだおれ太郎 at 23:46| Comment(0)
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2008年04月13日
ざこば1
中央市場で、いつも最初に行くのが「田中鮪(たなかまぐろ)」さん。「くいだおれ」では、田中さんのところからは主に冷凍もののキハダマグロなどを買っています。
関西と関東では、マグロの好みはちょっと違うみたいですね。
もちろん、どちらでも本マグロが最高とされるのは同じですが、関西ではあっさりした「よこわ」(マグロの幼魚)が好まれることもあって、同じように味わいの軽いキハダマグロも好まれます。キハダマグロは赤みが浅いので関東ではあまり好まれず、むしろ色の濃いメバチマグロのほうが好まれると聞きます。
でも、今日の田中さんのおすすめはメバチでした。
「部長、今日はこれ、見てくださいよ。バチ(メバチマグロ)のね、きれいにトロが入ってるでしょう。バチはふつう赤道あたりで捕りますけど、これはタスマニアのバチですねん。高緯度のバチは、こんなふうにきれいにトロが入りますねん。あんまり大きいのはないですけどね。せいぜい50キロとか60キロですけど、これからはこういうのをしっかり仕入れようと思ってます。」
「本マグロもほとんどは畜養でしょ。あれは、一切れだけ食べたらおいしい。脂が乗ってるからね。でも、なんべんも食べてると、やっぱり畜養は味がもひとつですわ。こだわる寿司屋さんが、畜養の本マグロよりはこういうバチの天然の、うまいことトロが入ったほうがええ、いうて最近言うてはりますワ。いっぺん、試してくださいな。」
マグロの「養殖」と言わずに「畜養」というのは、幼魚を捕って育てるからで、卵から育てる「養殖」とは区別するからだそうです。今、畜養マグロは地中海でいちばん盛んです。
畜養マグロはエサの加減でよく脂が乗るので人気がありますが、プロのマグロ屋さんの間では、評価はもう一つのようです。実際、大阪の中央市場では、天然の良いキハダマグロは(キハダには畜養はありません)、畜養の本マグロと同じくらいの値段がつきます。
世界的な寿司ブームで本マグロがひっぱりだこになり、日本では品薄になっています。一昨年くらいから、かなりマグロが高くなっていますね。
また、マグロが昔ほど捕れなくなっているのと原油高のせいで、マグロ漁船もなかなか採算が厳しくなっているそうです。中央市場でも何軒かマグロの仲卸さんが店をたたまれたそうです。
といって、和食ではお造りにはマグロは欠かせないものですし、かといって値段が上がったからといって、マグロのお造りの値段を何割もあげるわけにもゆかず、なかなかむずかしいところです。
関西と関東では、マグロの好みはちょっと違うみたいですね。
もちろん、どちらでも本マグロが最高とされるのは同じですが、関西ではあっさりした「よこわ」(マグロの幼魚)が好まれることもあって、同じように味わいの軽いキハダマグロも好まれます。キハダマグロは赤みが浅いので関東ではあまり好まれず、むしろ色の濃いメバチマグロのほうが好まれると聞きます。
でも、今日の田中さんのおすすめはメバチでした。
「部長、今日はこれ、見てくださいよ。バチ(メバチマグロ)のね、きれいにトロが入ってるでしょう。バチはふつう赤道あたりで捕りますけど、これはタスマニアのバチですねん。高緯度のバチは、こんなふうにきれいにトロが入りますねん。あんまり大きいのはないですけどね。せいぜい50キロとか60キロですけど、これからはこういうのをしっかり仕入れようと思ってます。」
「本マグロもほとんどは畜養でしょ。あれは、一切れだけ食べたらおいしい。脂が乗ってるからね。でも、なんべんも食べてると、やっぱり畜養は味がもひとつですわ。こだわる寿司屋さんが、畜養の本マグロよりはこういうバチの天然の、うまいことトロが入ったほうがええ、いうて最近言うてはりますワ。いっぺん、試してくださいな。」
マグロの「養殖」と言わずに「畜養」というのは、幼魚を捕って育てるからで、卵から育てる「養殖」とは区別するからだそうです。今、畜養マグロは地中海でいちばん盛んです。
畜養マグロはエサの加減でよく脂が乗るので人気がありますが、プロのマグロ屋さんの間では、評価はもう一つのようです。実際、大阪の中央市場では、天然の良いキハダマグロは(キハダには畜養はありません)、畜養の本マグロと同じくらいの値段がつきます。
世界的な寿司ブームで本マグロがひっぱりだこになり、日本では品薄になっています。一昨年くらいから、かなりマグロが高くなっていますね。
また、マグロが昔ほど捕れなくなっているのと原油高のせいで、マグロ漁船もなかなか採算が厳しくなっているそうです。中央市場でも何軒かマグロの仲卸さんが店をたたまれたそうです。
といって、和食ではお造りにはマグロは欠かせないものですし、かといって値段が上がったからといって、マグロのお造りの値段を何割もあげるわけにもゆかず、なかなかむずかしいところです。
posted by くいだおれ太郎 at 22:14| Comment(0)
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2008年04月12日
仕入部 午前4時
「大阪名物くいだおれ」では、仕入部が食材や消耗品の仕入れを一括しておこなっています。品定めと値段の交渉は、「くいだおれ」仕入部のいちばん大きな仕事です。
仕入部の一日は、午前4時開始。事務所は道頓堀から歩いて10分ちょっと、湊町の「なんばHatch」のすぐそばにあります。
前日の夜の間に、5つの調理場から注文が入っています。これを整理して、それぞれ仕入れ先に発注するのが朝一番の仕事。食材の仕入れ先はだいたい100社ほどです。
そして、5時ごろ「中央」へ。
関西でいちばん大きな卸売市場、大阪市中央卸売市場本場(ほんじょう)は、「雑喉場(ざこば)」と呼ばれた魚市場が前身となっています。中之島をずっと下った、安治川の河口。「くいだおれ」の仕入部事務所から、クルマで約10分。業界の人たちは「チュウオウ」と呼んでいます。
「中央」では、毎日青果(野菜)と水産物の「せり」があります。「くいだおれ」もそれぞれのせりに参加する権利、いわゆるせり権を持っていますが、今は実際にせりに参加することはなくて、仲買さんから食材を仕入れています。
今朝は、「くいだおれ」仕入部長の峯村について、水産部の買い出しにゆきました。
峯村はこの道47年。品物にも、ソロバンにも厳しい、昔かたぎのバイヤーです。たいていの仕入れ先では先代からのおつきあいなので、若い業者さんにはなかなか手強いかもしれません。
「中央」の水産部のせりは4時から。ふぐ、太物(まぐろなど)のせりが先にあって、5時すぎから、ほかの魚のせりがどんどん進んでゆきます。
だいたい、5時から5時半にかけて仲卸さんの店先に魚がそろってゆくので、この間にお店を回って注文を出してゆきます。電話で発注して配達してもらうこともできるのですが、実際に品定めをしたり、値段の交渉をしたり、また新しい食材を仕入れてみたりと、朝の「中央」は大事な情報交換、情報収集の場でもあります。
「中央」は日曜日が休みなので、毎週土曜日はどこも2日分の仕入れをするのでにぎわう日ですが、このところ時化(しけ)が続いて、今日は品薄でした。こういう日は魚の相場もけっこう高くなります。
この次は、おなじみの仲卸さんをご紹介します。
さて、昨日「くいだおれ太郎のTシャツを販売しては?」というメールを頂戴しましたが、実は、ちょうど新しいTシャツが出来上がってきたところです。ぜひ一度ご覧ください。
仕入部の一日は、午前4時開始。事務所は道頓堀から歩いて10分ちょっと、湊町の「なんばHatch」のすぐそばにあります。
前日の夜の間に、5つの調理場から注文が入っています。これを整理して、それぞれ仕入れ先に発注するのが朝一番の仕事。食材の仕入れ先はだいたい100社ほどです。
そして、5時ごろ「中央」へ。
関西でいちばん大きな卸売市場、大阪市中央卸売市場本場(ほんじょう)は、「雑喉場(ざこば)」と呼ばれた魚市場が前身となっています。中之島をずっと下った、安治川の河口。「くいだおれ」の仕入部事務所から、クルマで約10分。業界の人たちは「チュウオウ」と呼んでいます。
「中央」では、毎日青果(野菜)と水産物の「せり」があります。「くいだおれ」もそれぞれのせりに参加する権利、いわゆるせり権を持っていますが、今は実際にせりに参加することはなくて、仲買さんから食材を仕入れています。
今朝は、「くいだおれ」仕入部長の峯村について、水産部の買い出しにゆきました。
峯村はこの道47年。品物にも、ソロバンにも厳しい、昔かたぎのバイヤーです。たいていの仕入れ先では先代からのおつきあいなので、若い業者さんにはなかなか手強いかもしれません。
「中央」の水産部のせりは4時から。ふぐ、太物(まぐろなど)のせりが先にあって、5時すぎから、ほかの魚のせりがどんどん進んでゆきます。
だいたい、5時から5時半にかけて仲卸さんの店先に魚がそろってゆくので、この間にお店を回って注文を出してゆきます。電話で発注して配達してもらうこともできるのですが、実際に品定めをしたり、値段の交渉をしたり、また新しい食材を仕入れてみたりと、朝の「中央」は大事な情報交換、情報収集の場でもあります。
「中央」は日曜日が休みなので、毎週土曜日はどこも2日分の仕入れをするのでにぎわう日ですが、このところ時化(しけ)が続いて、今日は品薄でした。こういう日は魚の相場もけっこう高くなります。
この次は、おなじみの仲卸さんをご紹介します。
さて、昨日「くいだおれ太郎のTシャツを販売しては?」というメールを頂戴しましたが、実は、ちょうど新しいTシャツが出来上がってきたところです。ぜひ一度ご覧ください。
posted by くいだおれ太郎 at 22:55| Comment(2)
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2008年04月11日
なにわのモーツアルトと、たこ焼き、すき焼き
今日はお昼ごろに、TV番組の取材でキダ・タローさんが店頭に登場しました。
いつも写真撮影でにぎわう「くいだおれ」店頭ですが、キダさんが登場するや、黒山の人だかりになりました。
「なにわのモーツアルト」と呼ばれたキダさんは、かつて、道頓堀のほとんどの店のテーマソングを作曲したという伝説があります。
「大阪名物くいだおれ」にはテーマソングがいくつかあります。いつも店頭でかかっているのは、ウェブサイトの冒頭にもかかる「大阪名物味自慢、道頓堀のくいだおれ・・・」、という歌ですが、店頭でこの次によくかかる「ミナミへ行こう、道頓堀へ・・・」がキダ・タロー作曲です。
キダさんの曲は親しみやすいメロディもさることながら、ハーモニーがきれいです。キダさんはこうしたテーマソングやCM曲を量産しただけではなくて、どれもハーモニーがきれいなところが「モーツアルト」の異名になったということでしょうか。
さて、午後からは「サンデー・ジャポン」の取材があり、山中秀樹さんが「くいだおれ」7階のお座敷で、「たこ焼き教室」と「すき焼き」を召し上がりました。
「たこ焼き教室」は、お客様に実際にたこ焼きを焼いていただき、それを召し上がっていただくコースです。12年続いている「くいだおれ」名物で、これまでもたびたびテレビで紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれません。
また、「大阪名物くいだおれ」の創業当時からの名物の「すき焼き」は、割り下を使わずに、砂糖と醤油とお酒だけで焼く、上方(かみがた)風のすき焼きです。
今日収録したものは、13日に放映予定だそうです。どれだけ放映されるかはまだわからないそうなので、放送を拝見してから「たこ焼き教室」「すき焼き」について解説したいと思います。
いつも写真撮影でにぎわう「くいだおれ」店頭ですが、キダさんが登場するや、黒山の人だかりになりました。
「なにわのモーツアルト」と呼ばれたキダさんは、かつて、道頓堀のほとんどの店のテーマソングを作曲したという伝説があります。
「大阪名物くいだおれ」にはテーマソングがいくつかあります。いつも店頭でかかっているのは、ウェブサイトの冒頭にもかかる「大阪名物味自慢、道頓堀のくいだおれ・・・」、という歌ですが、店頭でこの次によくかかる「ミナミへ行こう、道頓堀へ・・・」がキダ・タロー作曲です。
キダさんの曲は親しみやすいメロディもさることながら、ハーモニーがきれいです。キダさんはこうしたテーマソングやCM曲を量産しただけではなくて、どれもハーモニーがきれいなところが「モーツアルト」の異名になったということでしょうか。
さて、午後からは「サンデー・ジャポン」の取材があり、山中秀樹さんが「くいだおれ」7階のお座敷で、「たこ焼き教室」と「すき焼き」を召し上がりました。
「たこ焼き教室」は、お客様に実際にたこ焼きを焼いていただき、それを召し上がっていただくコースです。12年続いている「くいだおれ」名物で、これまでもたびたびテレビで紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれません。
また、「大阪名物くいだおれ」の創業当時からの名物の「すき焼き」は、割り下を使わずに、砂糖と醤油とお酒だけで焼く、上方(かみがた)風のすき焼きです。
今日収録したものは、13日に放映予定だそうです。どれだけ放映されるかはまだわからないそうなので、放送を拝見してから「たこ焼き教室」「すき焼き」について解説したいと思います。
posted by くいだおれ太郎 at 21:12| Comment(8)
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割烹部の調理場1
「大阪名物くいだおれ」には、割烹、和定食、居酒屋、洋食、それにフレンチ&イタリアンである「ウラ・くいだおれ」5つの部門があり、調理場も5つあります。今日はまず、割烹部の調理場からご案内します。
「くいだおれ」の割烹部は、おそらく、「くいだおれ」の中でも一番知られていない部門ではないかと思います。大阪に生まれ育った方でさえ、「くいだおれの上のほうにこんなに落ち着いた座敷があるとは知らなかった」とおっしゃる方がたくさんおられます。
でも、この割烹部、規模としては「くいだおれ」でいちばん大きな部門で、また、わたしたちが誇りに思う部門でもあります。
さて、調理部の「長」は、役職名ではふつう「調理長」とか「料理長」と言いますが、和食の世界では伝統的に「親父」、「おやっさん」と呼んでいます。「くいだおれ」の事務所では、洋食とウラ・くいだおれの長を「チーフ」、和食系の長は「調理長」と呼んでいますが、現場(厨房)で職人さんと話すときはやっぱり「おやっさん」のほうがしっくりきますね。
「くいだおれ」割烹部の竹間(ちくま)調理長、「竹間のおやっさん」です。一昨年、農林大臣賞をいただいて、目下売り出し中です。
今日は、会席だけで100名様のご予約がありました。お客様にお出しするお造りの盛りつけや数をチェックしているところです。
お食事がはじまる時間は、だいたいどのお客様も6時から6時半くらいです。つまり、100名分のお料理をだいたい同じタイミングでご用意することになるので、お料理がスタートすると調理場も配膳もおおわらわです。
「親父」は、調理場ではあまり包丁をもったりはしないものだそうです。全体の仕事を指揮し、盛りつけや味付けのチェックをしたり、メニューを決めたりするのが本来の仕事ということです。
もっとも、「くいだおれ」くらいの規模では調理長も包丁を持ちます。今日は特に、立て板さんがお休みだったので、おやっさん自ら「やなぎ」(刺身用の柳刃包丁)を握っています。
割烹では、お造りをつくる担当を「立て板」と言います。立て板さんは、親父か二番手、つまりその調理場で一番腕の良い職人さんがやるものだそうです。ご自分で包丁握る方はおわかりだと思いますが、きれいにお刺身を造るのはかなり難しいですよね。あんなに小さな一切れでも、まっすぐ切るのは難しいし、まして厚みをきれいにそろえるというのは。それに、魚の身ってきれいな長方形ではないから、材料を無駄なく、しかもきれいに切り分けるのは経験が必要です。
「花板」という言い方もありますが、これは関東の、それもカウンター割烹でよく使われる呼び方だそうです。「花板」というと、接客もし、ショーマンでもあるというニュアンスがありそうです。包丁も、ふつうの仕上げとちがって、全面ぴかぴかに磨いてあるものを使ったり、「見せる」要素の強いものだそうです。
「くいだおれ」の立て板さんの仕事は「花板」みたいな派手さはありません。
でも、けっこう凝ったことやってます。
これはキュウリを使ったお造りのあしらいですが、チョウチョの形です。これは今月、4月のあしらいで、来月はまた違うものになるそうです。これを、たとえば今日なら100人分、ひとつひとつ手作りでつくってゆくわけです。
「くいだおれ」の割烹部は、おそらく、「くいだおれ」の中でも一番知られていない部門ではないかと思います。大阪に生まれ育った方でさえ、「くいだおれの上のほうにこんなに落ち着いた座敷があるとは知らなかった」とおっしゃる方がたくさんおられます。
でも、この割烹部、規模としては「くいだおれ」でいちばん大きな部門で、また、わたしたちが誇りに思う部門でもあります。
さて、調理部の「長」は、役職名ではふつう「調理長」とか「料理長」と言いますが、和食の世界では伝統的に「親父」、「おやっさん」と呼んでいます。「くいだおれ」の事務所では、洋食とウラ・くいだおれの長を「チーフ」、和食系の長は「調理長」と呼んでいますが、現場(厨房)で職人さんと話すときはやっぱり「おやっさん」のほうがしっくりきますね。
「くいだおれ」割烹部の竹間(ちくま)調理長、「竹間のおやっさん」です。一昨年、農林大臣賞をいただいて、目下売り出し中です。
今日は、会席だけで100名様のご予約がありました。お客様にお出しするお造りの盛りつけや数をチェックしているところです。
お食事がはじまる時間は、だいたいどのお客様も6時から6時半くらいです。つまり、100名分のお料理をだいたい同じタイミングでご用意することになるので、お料理がスタートすると調理場も配膳もおおわらわです。
「親父」は、調理場ではあまり包丁をもったりはしないものだそうです。全体の仕事を指揮し、盛りつけや味付けのチェックをしたり、メニューを決めたりするのが本来の仕事ということです。
もっとも、「くいだおれ」くらいの規模では調理長も包丁を持ちます。今日は特に、立て板さんがお休みだったので、おやっさん自ら「やなぎ」(刺身用の柳刃包丁)を握っています。
割烹では、お造りをつくる担当を「立て板」と言います。立て板さんは、親父か二番手、つまりその調理場で一番腕の良い職人さんがやるものだそうです。ご自分で包丁握る方はおわかりだと思いますが、きれいにお刺身を造るのはかなり難しいですよね。あんなに小さな一切れでも、まっすぐ切るのは難しいし、まして厚みをきれいにそろえるというのは。それに、魚の身ってきれいな長方形ではないから、材料を無駄なく、しかもきれいに切り分けるのは経験が必要です。
「花板」という言い方もありますが、これは関東の、それもカウンター割烹でよく使われる呼び方だそうです。「花板」というと、接客もし、ショーマンでもあるというニュアンスがありそうです。包丁も、ふつうの仕上げとちがって、全面ぴかぴかに磨いてあるものを使ったり、「見せる」要素の強いものだそうです。
「くいだおれ」の立て板さんの仕事は「花板」みたいな派手さはありません。
でも、けっこう凝ったことやってます。
これはキュウリを使ったお造りのあしらいですが、チョウチョの形です。これは今月、4月のあしらいで、来月はまた違うものになるそうです。これを、たとえば今日なら100人分、ひとつひとつ手作りでつくってゆくわけです。
posted by くいだおれ太郎 at 00:20| Comment(5)
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