2008年05月21日

居酒屋 今日のメニュー 5月21日

居酒屋部では、毎月メニューを更新していますが、今月は新しい食材が入るたびに、売り切れ御免でお出ししております。連休明けからはじめていたのですが、ご紹介が遅くなり、もうしわけありません。

さて、ただいまの季節メニューは

・白エビの唐揚げ
・鱧の天麩羅

がご好評いただいております。

Gr.jpg

大阪の初夏の味覚です。こちらも、入荷状況により、売り切れ御免とさせていただいてます。
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2008年05月19日

「新米祭り」と「豆腐すくい」

「秘蔵の写真展」からもう少し。

「胃の寒稽古」が、地元・大阪のスポーツ紙に「かき氷は夏のもの、という世間の常識に挑戦するイベント」として取り上げられてから、「くいだおれ」店頭のイベントはしばらく道頓堀の「名物」になりました。

その第二弾は「新米祭り」。
新米祭り01
これは、「くいだおれ」開店間もない昭和24年に先代・山田六郎がやった店頭イベントをふまえたものです。

このときのイベントは「土用の丑の日」の催しでした。
店頭に米俵を積み上げて、「これをかついで道頓堀を往復できた人にうな重をサービスします」というものでした。「ふだんから身体をつかって働いてはる人なら米俵が運べるはずや。そういう人にサービスをするのや。」ということだったそうです。

昭和47年秋のこの「新米祭り」はまったくのお遊びでしたが、この「米俵をかついで」というところを借りてきました。「米俵をかついで歩けた人に食事券をプレゼント」というものでした。
全国から新米を集めてきたのですが、もう米俵というものがなくなっていて、わざわざ作ってもらったものを山形県から取り寄せたということです。残念ながら米俵を運ぶところは写真に残っておりません。

このとき店頭に大きくかかげたのがもうひとつ。
新米祭り007
「米を食おう」という大きな垂れ幕を流し、高さ30センチのオニギリを作って、時の首相・田中角栄と、時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンの似顔絵を作った。
ちょうど、田中首相がニクソン大統領とハワイで首脳会談をもった直後で、「米を食おう」の「米」を「米国」をひっかけたシャレでした。
新米祭り09

これも新聞がおもしろがって記事にしてくれたので、さらに同じ田中内閣時代に世相を風刺したイベント「豆腐すくい」を。

豆腐すくい

昭和47年の夏から秋にかけて、エル・ニーニョ現象でペルー沖のカタクチイワシが極端な不漁になりました。そのあおりで、カタクチイワシを主な肥料としていたアメリカの大豆が不作になって高騰し、当時の田中首相が中国などから大豆を緊急輸入することを指示して暴騰を抑えようとしたものの効果がなく、豆腐や醤油の値段が数ヶ月で4倍に値上がりしたのを風刺したイベントでした。

店頭に、当時「主婦」の象徴とされたしゃもじの巨大なものを2本たてて、一方にはまたまた田中角栄首相の似顔絵を描き、もう一方には都々逸を。
「くずれた豆腐も切りようで四角 ものは言いようで角がたつ」。
「角」に「角栄」をひっかけた洒落でした。

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2008年05月18日

「胃の寒稽古」

店内、全館を使ってやっている「秘蔵の写真展」からもご紹介しましょう。
まずは「胃の寒稽古」。

「くいだおれ太郎」、当時はまだ名前がない「くいだおれ人形」でしたが、もともとはそう積極的に「売り出し」ていたわけではなかったのでした。まだ写真やビデオが今ほど普及していたわけでもないからでしょうか、あまり「太郎」の映像は意識されてなかったようです。

その方向が変わってきたのが、このあたりから。
ちょうど大阪万博が終わったころです。店頭で派手にイベントをやって、それを写す映像に「太郎」が必ず入るようにした。このころから「太郎」を「くいだおれ」のシンボルイメージとしてPRするようになってきたのだそうです。

その第一回が、昭和46年の「胃の寒稽古」。
寒稽古002
1月の大寒の日、ですから万博が終わった冬ですね。
冬のさなか、一番寒い日に「胃の寒稽古」、「食べて暖くなるかき氷」と称して、店頭でかき氷を売った。

一杯50円。今の物価だと2、300円ってところでしょうか。
なぜ「食べて暖くなる」かといえば、シロップにお酒が入っている。
寒稽古003

「炎のアイス」「情熱の氷」なんて、いかにも1970年代の歌謡曲のタイトルみたいで時代を感じさせますが。「マダムハラショ」はウオトカと使っているから。今ほどアメリカ文化一辺倒の時代ではなかった香りです。

真冬のさなかに、みな水泳パンツ一丁で。はじめの写真、一番右側でマイクを握っているのが、山田昌平・現社長の若かりし頃。このころは「太郎」のメガネも今より大きかったみたいです。
寒稽古008

真冬ですから、ふつうの人はこういう格好してます。

一方、店の者はこんな格好で。

ほんとに、ばかばかしいことをやっていたという感じですが、でも、昭和40年代、あるいは1970年代って、こういうばかばかしいことを楽しんでやっていた、エネルギーに満ちた時代であったような感じもします。そして、道頓堀もいちばん華やかな時代でした。

寒稽古054

こんなイベントに、ビキニのモデルさんをわざわざ3人も使っていたのですね。
水着のデザインも、いかにも70年代です。
寒稽古027


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2008年05月17日

割烹部厨房 午前7時

「大阪名物くいだおれ」の厨房のなかで、一番朝早いのが割烹部です。
洋食部、和定食部、居酒屋部、だいたい午前9時ごろから仕込みを始めるのですが、割烹部は早い日は午前6時すぎから早番が仕込みに入ります。

(居酒屋部はお昼の営業がないことを考えれば午前9時開始でもべらぼうに早いといってよいのですが)

さて、始業一番にすることは、出汁を引くこと。
かつお昆布出汁01

このお鍋は2斗半のお鍋。容量約50リットル。
業務用のローレンジは家庭用の大バーナーの4倍ほどの火力があるのですが、それでも2斗半の水をわかすには、1時間ほどはかかります。

家庭でカツオ昆布出汁をとるときは、昆布を一晩鍋につけておくのがよいのですが、こういう業務用の大鍋でわかすときは、30分、1時間かけてじわじわ火を入れることになって、それで良い出汁が出るのだそうです。
この2斗半の鍋には、長さ1メートルほどの昆布が2本入ってます。

そして、沸いてきたら鰹節を入れる。
カツオ昆布出汁02

業務用の削り節パックは1袋500g。これを二つ半ほど入れます。
だいたい、1斗あたり昆布1メートル、鰹節500g。
ご家庭でも同じ割合でやれば美味しい出汁ができます。

でも、一度試してみてください。
この割合で計算すれば、半升(900ml)の水に対して昆布が5センチ×10センチほど。これは良い。でも、削り節は25g。
これ、かなり多い感じです。鍋で煮立っている水と同じぐらいの嵩(かさ)になります。

これだけの鰹節を使うって、けっこう勇気がいるのではないかと思います。でも、これだけしっかり出汁を取ったら、まちがいなくお料理は美味しくなります。
「どこそこの昆布、とか、どういう鰹節、とこだわる前に、ちゃんと量を使うことが基本ですよ。それだけでぐっと料理がおいしくなります」とは竹間調理長。

出汁の鍋を火にかけている間に、予約の数のチェック、調理器具の準備、料理の仕込み。
午前7時

鰆のおから寿司も、こうやってコツコツと積み上げます。
鰆01

鰆02

ちなみに、この時間帯、1階洋食部はまだまだ眠ってます。

開店前
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2008年05月16日

「太郎」切手

西成梅南通(にしなりばいなんどおり)郵便局さんから、「太郎」の記念切手を作りたいというお話をいただきました。
切手01

もちろん、「くいだおれ」としては大変ありがたいお話で、素材の写真を提供してデザインしていただきました。現在店内で展示してある「秘蔵写真」から選んだものが中心です。

50円切手と80円切手、それぞれ10枚ずつ、計20枚分の写真を選ぶ作業も大変でしたが、レイアウトもなかなか大変だったと思います。

最初にお話があったのが連休前。祝日も日曜日もなく、データとデザインのやりとりをして、ようやくゲラ(印刷見本)が出来上がって来て、の打合せでした。

切手02
この手の切手シート、けっこう高いものだそうですね。
知名度のあるところのものだと、何千円もするのだとか。ふつうの切手とちがって印刷費とか包装代がけっこうかかるのは確かですが、「太郎」のは切手だけというのもなんなので、「太郎」の絵はがきをいっしょに入れることになりました。

いざ、こういう商品を作るとなるとこまごま考えなければならず、当の切手シートはもちろん、同梱の絵はがきならその体裁やデザイン、シートの台紙、シートにそえる説明書き(たとえば「くいだおれ太郎の歴史」など)、シートを入れるビニールの袋、さらにその袋に封をするための封緘シールなどなど、いろいろ決めたり作ったりするものができてきます。

予定では、今月末までに材料をそろえて梱包をはじめ、6月上旬に発売という予定です。「大阪名物くいだおれ」のホームページからもご注文いただけるようにすることになっています。
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2008年05月15日

橋波保育園

先週、5月8日、守口市の橋波保育園の園児さんたちが「くいだおれ」に来られました。

はしば4

以前からおつきあいのあった保育園で、「団体でうかがいたいのですが」とご予約いただいたときに、「最後の子供の日ですから、記念にご招待します」と女将の一言でご招待が決まりました。

はじめは、1階の洋食レストランで「お子様セット」を召し上がっていただくことにしていたのですが、女将の発案で、お土産に「くいだおれ太郎の帽子」をみんなに作ってもらおうと、5階の大広間に上がっていただいて、お食事と「工作」の時間となりました。
はしば1

女将みずから指南役に

はしば2

上手にできました

はしば3

そして、今日、橋波保育園からお礼状をいただきました。
すごい!
保育園00

中を開くと
保育園02

保育園01

保育園04

保育園05

保育園06

泣けてきます。
先代は「子供に喜んでもらうために」といって「くいだおれ太郎」を作ったわけですが、それから60年経ってもやっぱり「太郎」は子供さんたちを喜ばせてくれているようです。

裏方で、黙々とこの「工作」の用意をしてくれたのは増井さん。
増井さん.jpg

ほんとはこんな仕事をしてもらう方ではないのですが。
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2008年05月14日

和定食部門の厨房 釜飯

「大阪名物くいだおれ」3階の和定食部門、今回が初めてのレポートです。

割烹なら「玉葱の鱧射込み」、居酒屋なら「道頓堀コロッケ」、洋食なら「くいだおれオムライス」と、よそにない商品をご紹介するのが入り口になるのですが、ここ和定食部門は、そういう個性的なメニューがあまりないので、さて、どこからご紹介したものかと、なかなか難しいのです。

それで、厨房に入って相談した結果、やはりここは「釜飯」であろうと。

釜飯00

そして今日厨房を覗いたら、まさにタイミングよく、釜飯を仕込んでいるところでした。

「くいだおれ」和定食、夜のメニューでの人気商品が、この釜飯を組み込んだ御膳ものです。
ふつう釜飯といえば、大きな炊飯器で炊いた炊き込みご飯を一人用の釜に盛って出すのがあたりまえなのだそうですが、「くいだおれ」和定食では、どれも一から、生米から炊いてお出ししております。

釜飯01

まず、一人用のお釜にお米を入れます。
このお釜は中がテフロン加工になった特別製。
そして出汁を入れる。

そのあと、季節にもよりますが、春なら下茹でしてある山菜を乗せます。

釜飯02

そして、これも季節で変わりますが、海のものなど。今日はカニの棒肉を入れます。最初の写真ではホタテが入ってますね。

釜飯03

あとは蓋をして、火にかけるだけ。
ここでは、20分から25分の固形燃料を使います。

釜飯05

これだけ。
えー、たったそれだけ? と思うぐらい簡単でした。
和定食の釜飯はすべてこうやって、一から炊いているのですが、ほんとにこのわずかな固形燃料できれいに炊けてしまうのです。コンロの熱伝導がよいのか、器が小さいから早く沸くのか。

ともかくも、この釜飯は和定食のおすすめ商品です。
ぜひお試しください。
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2008年05月13日

「太郎本」ロケ

そして今日もまた写真の話題ですが、今日のは「料理」写真ではなく、「太郎」の写真です。

マガジンハウスから「くいだおれ太郎」が「自伝」を出すことになりました。
目下、急ピッチで執筆中。
そして、今日は道頓堀にほど近い天王寺のスタジオで撮影です。

「太郎」の移動はなかなか大変。
台座を入れて150kgほどあるので、仕入部の電動リフトつきトラックを使って運びます。
問題は、背が高いこと。台座の下から頭のてっぺんまで3メートル弱あるので、幌で隠せない。「太郎」がむきだしのままトラックに乗って市内を移動してれば、ちょっとした見ものになってしまうでしょう。
太郎ロケ01

だから本体にはブルーシートをかぶせたのですが・・・かえって怪しい!
どうみたって「大阪名物くいだおれ」。

まあ、ともかくもスタジオに到着して、太郎をおろします。
いつも太郎を運んでくれるのは、「くいだおれ」営繕係の竹下(左端)と、出入りの工務店の岡田さん(真ん中)。そしてまたこの二人が、「太郎」のお医者さん(修繕係)でもあり、メーキャップ・アーティストでもあります。
太郎ロケ02

スタジオに入ったら、人間の撮影と同じ。
カメラは小野晃蔵さん。
引いて撮ったり、寄って撮ったり。
電源を入れっぱなしで、どんどん表情が変わるのを追っかけながら撮るので、人間を撮るときと同じように、バシャバシャとシャッターを切ります。
太郎ロケ03

こんなポーズをさせてみたり。
太郎ロケ04

右はこの本のプロデューサー、吉村さん。元Hanako West 編集長。
左がデザイナーの行(ゆき)さん。吉村さんの相棒です。

さらに「哀愁あるポーズ」を模索してみたり。
太郎ロケ05

こんなこともやらせてみました。

no-title

プロデューサーの吉村さん、なぜかこの日はスキを見ては太郎の写真ばかり撮ってました。
「待ち受け画面にするねん」
太郎ロケ07

さらにカメラの小野さんとも
太郎ロケ08

「くいだおれ」関係者が「太郎」の写真を撮るなんて、仕事以外ではまずないと思います。でも、こうやって照明の良いスタジオで「太郎」を独占するというレアな経験をしてみると、みんな「太郎」の撮影にハマってしまいました。あらためて、店頭で「太郎」の写真を撮るお客様の気持ちを理解した次第です。

だって、スタジオに「太郎」が到着するやいなや、
太郎ロケ09

こんな感じですから。

さて、この「太郎」本は6月の下旬発売の予定。
今回のロケ撮影以外にも秘蔵写真満載となる予定です。元Hanako West編集長の吉村さんに加え、前Meets Regional 名物編集長の江(こう)さんも参加してくださいます。その他に○○師匠やら○○先生やら○○さんやら、皆さんご存知の著名人も続々参加。TRIP OF LOVE の出口プロデューサーからも熱いメッセージ頂戴しました。ぜひ、ご期待ください。

さらに、「大阪名物くいだおれ」の公式社史「ばかたれ、しっかりせ」(講談社)も増版作業中。こちらは一足早く5月下旬に書店に並ぶ予定です。
ばかたれ

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2008年05月12日

料理写真 後編 デジタル時代

今から思えば、澤さんは当時からデジタル時代を先取りしたような撮り方でした。
いや、「デジタル」と構図が直接関係あるわけではありませんが。

10年ほど前、料理写真といえば大きな蛇腹のカメラで撮るのが当たり前の時代、澤さんが撮影に持って来たのが中判のハッセルブラッドです。
大判の蛇腹のにくらべると、フィルム面積はざっと4分の1。ホームページ用であまり解像度が必要ではなかったとはいえ、型破りな感じでした。そのかわり、手持ちで構図を少しずつ変えながらどんどん撮れる。

そして、もうひとつ大胆だなあと思ったのは、最初から、お皿が画面からはみ出すように撮影することでした。それに、蛇腹のないカメラですから、全部にピントが合うということがない。どこかにピントをきっちり合わせたら、あとはあえてぼかす。

今はこういう撮り方、当たり前です。どの雑誌のカメラマンでも、印刷屋さんのカメラマンでもやっています。でも、当時は「料理専門のカメラマンというのはこういう撮り方をするものか」と、けっこう新鮮でした。

さて、時代は流れて今やデジタル全盛時代。
ちょっと前までは、「きれいな写真」はやはりフィルムに軍配が上がっていましたが、もうデジタルでもまったく遜色ないとか。いや、デジタルの方が上という人もあります。あるエンジニアの本によれば、もはやレンズのクオリティもフィルム時代にくらべてはるかによくなっているのだとか。

少なくとも、インターネットではデジタルかフィルムかはまったく関係ないし、印刷物でも同様だそうです。まあ、10年前でも、印刷物に使う場合はフィルムをデジタルで読み取って処理していたのですから、結果は同じことですが。

そしてデジタルで決定的に変わったことは、「その場で結果が見られること」。
これは決定的です。ある意味で、今まで「現像しなければわからな」かった「プロの腕前」が、その場でわかる。一発勝負ではなくなったわけです。

たいていの場合、カメラマンはその場で確認するときには、カメラについた液晶画面で確認、修正してゆきますが、澤スタジオはパソコンを持ち込んでやります。

撮影3

ふつうパソコンを持ち込んでも、どんどん撮影して、メモリーがいっぱいになったらパソコンに読み込む、ということが多いみたいですが、澤スタジオではリアルタイムで撮影画像をパソコンに送ります。
こうすれば大きな画面で画像が確認できるので、照明の不具合や色合い、ピントの確認など、ほとんど完全です。

そしてこれも、はじめはコードをつないでやっていたのですが、澤さんはすぐにワイヤレスに切り替えました。「くいだおれ」での撮影でも試しつつやってました。はじめはワイアレスの具合が悪かったり、パソコンのアプリケーションの具合が悪かったり、途中で撮影作業が止まることもしばしばでしたが、いつの間にか、ワイヤレスで写真データを飛ばすのがあたりまえになりましたね。

そして、一枚撮るごとにこうやって確認して、露出や証明、レフ板の位置などを修正しながら進めてゆきます。フィルム時代は構図や露出が決まったら、「では、本番行きます」だったのですが、デジタル時代はこうやって確認して決まれば、「OK」。あっけないものです。

それで、どんどん撮影も進んでゆきます。最近は、構図などのスタイルも決まって来たせいもありますが、4時間程度で大小合わせて20点は軽く撮れます。小さいものが多ければ、もっと早い。この倍は軽いですね。

no-title
ただし、昔と違って今はカメラマンがパソコンのソフトを使って画像の修正をすることも多いです。色合いを調整したり、汚れを取り除いたり。そういうレタッチ作業もカメラマンの仕事に入ったりするので、パソコンもカメラマンの「道具」になってきました。

で、こうした撮影作業をしながら、ホームページのレイアウトの打合せも同時進行で進めてゆきます。何せ、撮影したカットが目で見えるわけですから話も早いのです。
パソコンのモニターで見た画像を見ながらレイアウトを決めて、ここにはデータ番号何番の写真、ここは何番、と、つぎつぎに決めてゆきます。
データも、急ぐものはレタッチ抜きでその場でCDに焼いてデザイナーさんに渡せる。

だから、今は「1点いくら」ではなく、「1時間いくら」とか「1日いくら」の契約です。そして1点あたりの撮影料もかなり安くなりました。もっとも、澤さんにはかなりサービスしてもらってますが。

思えば、すごいスピード感の変化です。
フィルム時代は、撮影して現像に出して、翌日戻って来たものをルーペで覗いて選んでデザイナーに渡して、紙焼き(プリント)にしてレイアウトに貼付けて(そういえば昔は紙焼きの上にトレーシングペーパーをかぶせてトリミングの指定なんてやってましたね)、なんて、撮影からレイアウトまで1週間近くかかったものですが、今や一瞬。せいぜい2日です。

「くいだおれ」の場合、ホームページのうち毎月更新する箇所をだいたい決めています。だから、2日あれば撮影からアップデートまでできてしまう。この4月は撮影の段取りがうまくつかなくてぎりぎりになったので、月末に撮影して、翌朝までにアップデートという無理をしてもらうことになりましたが、そういうことすらできる時代になったということは、ちょっと前には考えられないことでした。

また、モニター画面を見ながらどんどん修正してゆけるわけですから、写真のクオリティもどんどん上がっているということかもしれません。これはカメラマンにとってみれば安全でもあり厳しくもあります。
一発勝負でないのだから「どうしようもない失敗」はなくなりました。でも、どんどん修正できるということは、できるだけ修正しなくてはいけない。クライアントはどんどん注文つけます。昔みたいに現像したらおしまい、「撮り直しは大変だ」とか「撮り直してもこれより良くなるかどうかはわからない」なんてことはありません。
だから、デジタル時代のカメラマンさんは、いかにクライアントの要求を正しく理解して、それをいかに手早く実現できるか、が要求されるということでしょうか。

ところで、ちょっと前の書き込みに、「玉葱料理の写真は澤さんでしょうか」というご質問がありました。池本くん喜びます。実は、あれは池本くんです。澤さんはものによっては一から十まで池本くんに撮影させることがあります。そして、最後におかしいところを修正してゆく。そうやって、力をつける。
これもデジタル時代だからできることかもしれません。ともあれ、あの玉葱は澤さん抜きでOKが出たものです。

さて、昨日の「前編」に、「くいだおれ」ホームページ開設の目的に「kuidaore」の使用権の問題があるということを書きましたが、結果、「くいだおれ」のホームページアドレスは「Cui-daore」となっています。

これは、アメリカに長かった澤さんのアドバイスです。
英語には「ku」という綴りはほとんどないし、「kuidaore」とずらずらやってしまうと英米人にはとても読みにくい。
この際、もっと美味しそうに、「料理」すなわち「キュイジーヌ cuisine」を連想させる綴りにしてはどうだろうか。ということで今の Cui-daoreという綴りが採用されたのでした。そしてアドレスには使えませんが、ロゴには最後も「オア」でなくちゃんと「オレ」と呼んでもらえるように、最後の「e」の上にフランス語のアクセント記号をつけています。
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2008年05月11日

料理写真 前編 フィルム時代

「大阪名物くいだおれ」のホームページは割と早く、10年ほど前から開設しています。
というのも、「くいだおれ」という言葉は一般名詞でもあり、誰かにこのアドレスを先に取られてしまうと、なかなか使いにくいという防御的な意味もあったのです。

そして、そのときにデザインと写真をお願いしたのがビットデザインスタジオの藤田さんと、澤さんでした。
当時、お二人は靱本町(うつぼほんまち)に共同でスタジオを構えておられました。ビットデザインスタジオはまだ藤田さんだけ、澤スタジオは澤さんと、アシスタントの女の子が一人いたくらいでしたか。
その後、「くいだおれ」のホームページの担当者が変わったり、また当時はそう頻繁にアップデートすることもなかったこともあり、しばらくお二方とはお仕事をすることがなかったのが、一昨年にホームページを全面的にリニューアルするにあたって、再びお願いすることになったわけです。

そして、この数年間には、いろいろずいぶん変わりました。
まず、コンピューターの環境が変わりました。当時はダイヤルアップが当たり前の時代なので、データの重さが最大の課題でした。画面をできるだけ分割して、最小限のデータ量で表現するのがデザイナーの腕の見せ所というわけで、フラッシュムービーなんてなかなか使えませんでした。

だから、写真もあまり使えなかったはずですね。
ブロードバンドが当然の今ではわずか1、2秒でダウンロードできる写真一枚が、当時は1分とかかかったのではなかったでしょうか。だから今みたいにサムネイルをクリックすると拡大写真がすぐに出てくる、というワザも使いにくかったのです。

さらに、もっと変わったのは写真そのものです。

10年前、いや5年前までは、写真はフィルムでした。新聞や雑誌は5年前にはかなりデジタル化してたのかもしれませんが、料理写真のように画質を重視するものでは、デジタルはとても考えられなかった時代です。

そしてまた、料理写真に対する考え方も違いました。
当時は、雑誌などのエディトリアルな効果を狙ったものは別として、パンフレットに使う料理写真はあくまで「カタログ」であって、どんな料理、どんなお皿が出てくるかを展示することが最大の目的だったわけです。

今でも、「くいだおれ」ホームページの和定食部門では現場の希望でそのような旧来のやり方をしています。

http://www.cui-daore.co.jp/wateisyoku_menu.html

ご覧いただければわかるように、テーブルの手前から奥まできちんとピントがあって、どの料理もきれいに見えます。そして大事なことは、どのお皿、どの器も、きっちり画面に入っているということです。

こういう撮影、けっこう大変なものでした。
だって、フィルム時代は、現像してみなければ結果がわからないのですから。

テーブルに料理を並べると、手前から奥までかなり奥行きがあります。
この全部にピントを合わせるとなると、学校の集合写真に使うような蛇腹のついたカメラが必要です。フィルム面に対して、レンズを斜めにしなくてはならないからです。

さらに、手前から奥までまんべんなく写すためには、ストロボの明るさをきちんと整えてやらなければいけません。絞り値にして3分の1以内。これは肉眼ではなかなかわかりません。もちろん、お皿の手前側とか料理のてっぺんとか、ハイライトになったり陰になったりする部分は良いのですが、それも効果的に計算しなくてはならない。
だから、大きな照明器具をいくつも使って、反射板(レフ板)を置いて、何十回と露出計で露出を計って準備をしたものでした。

それから、会席料理のようにお皿の数が多いと並べ方も大変です。一番見やすく、絵になる並べ方を模索して、露出を決めて、そしてポラロイドで撮影します。
ポラロイドは実際のフィルムほどきれいには出ませんし、実際のフィルムよりも明るさの許容範囲が狭いので、最終結果よりはキタナくしか写りません。暗い部分は実際以上に陰がついて、明るい部分は実際以上に白っぽくなってしまいます。

それを見ながら、また並べ替えたり、露出を合わせたり。
ポラロイドの現像を待つのに2、3分かかることもあって、料理写真を一点撮るのに、だいたい小一時間かかるのはザラでした。
また、印刷に使うのはポジフィルム、いわゆるスライド用のフィルムですが、これはふつうのネガフィルムと比べて露出の許容範囲がとても狭い。ふつうのネガだと少々露出が違っていてもプリントできるものですが、ポジはそうはいかない。
それで、ポジでの撮影では保険をかける意味で、少しずつ露出を変えて何カットも撮るものでした。
蛇腹のカメラだと、一枚とってフィルムを巻き上げて、というわけにはゆきません。フォルダにセットしたシートフィルムをいちいち差し替えて、どのフィルムがどの露出番号か印をつけて。ほんとに神経使う作業でした。

カメラマンというのは印刷屋さんが連れてくるのがふつうです。パンフレットを作るとすれば、どこかの印刷屋さんに発注して、そこがおかかえのカメラマンとデザイナーを使って作る。

でも、最初に「くいだおれ」のホームページを立ち上げるにあたっては、もっと写真のクオリティにこだわろう、ということになったのです。
まだインターネットが今ほど当たり前になっていなかったこともあったし、カタログ的な写真よりは、「食欲がわくような、美味しそうな写真」を使いたい、ということで、料理を専門にしていた澤さんにお願いすることにしたのです。

当時、写真の撮影料は1点いくら、でしたが、料理のような手のかかる「ブツ撮り」の場合、印刷屋さんのカメラマンが1点だいたい1万円くらいなのに対して、澤さんのような料理写真の専門カメラマンとなると、1点ン万円が相場でした。一日に撮影できる点数は限られているので、一度の撮影で何十万円もかかるわけではないのですが、やはりこの規模の会社としてはかなり奮発した感じでしたね。社長の、「よっしゃ、いっぺんやってみようや」の一言でした。

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2008年05月10日

ざこば その5

久々に中央市場の話題です。
実は、先々週に行ったときのお話の続きなのですが、あれからまた魚の顔ぶれもかわっているでしょうか。
人様の顔ぶれは変わっておりません。

まずは、順序どおりに三原商店さん。いつもウニを買っているところ。

三原商店1

青葉の季節になると、アマゴが出回ってきます。
東日本では「ヤマメ」という魚。とても近い種でよく似ているのですが、アマゴの方が鮮やかなピンクの斑点があるところが違います。大きい物は塩焼き、小さい物は天ぷらなど。

アマゴ/ヤマメは天然ものは少なくてほとんどが養殖だそうですが、この種類の魚は養殖と天然でも味はほとんど変わらないのだそうです。放流釣り場でもいちばんポピュラーな種類でしょうか。

三原商店11

貝類も種類がふえてきているような。

貝類はむずかしいです。
第一に、殻ごとの姿を見ることが少ない。はまぐり、あさり、しじみ、さざえ、くらいはわかりますが、バカガイ(あおやぎ)、赤貝、うばがい、となるとけっこうわかりませんよね。
しかも、旬が年に何度かあるものもあるとか。ますますわかりません。

それから、おむかいのカネトさん。
カネト尾上商店11

こちらはひとまわりか、ふたまわり大きなアマゴがありました。
この赤い斑点がきれいですね。実物は、もっと蛍光色みたいな感じに光っています。

それから、今日はホタルイカがありました。
カネト尾上商店12

この写真のは富山産。隣にどこでしたか、よその産地のものがあって、こちらは富山産よりひとまわり小さくて、安い。どちらも湯がいて氷詰めにしてあります。

「食べ比べたらわかりまっせ」と、カネト尾上商店のご主人。
お言葉に甘えて、ひとつずつつまみ食いしてみると、たしかに。富山産のはふっくらして、甘いのです。

何でも、富山湾はべらぼうに深いのだとか。ホタルイカは、ぐっと深くなっている海で獲れるようですが、富山湾の深さはハンパじゃないとか。その、深い海から揚がってくる潮と、日本アルプスから注ぐ川の栄養分で、ホタルイカがおいしくなるのだという話です。

ところで、カニとかタコとかホタルイカとか、こうやってボイルして氷詰めしているものが多いです。生よりも上手にボイルした方がおいしい食材ってあるようです。もっとも、日本海側で獲れるこういうものを、大阪で生でおいしく食べるということ自体なかなか難しくて、比べにくいのではありますが。

「くいだおれ」割烹部の竹間調理長は鳥取出身、ズワイガニの名産地の出なのですが、「カニは塩ボイルが一番美味い。ただし、プロが上手に茹でた塩ボイルに限るけど」と言っております。

たしかに、上手に塩ボイルすると、身の甘みと旨味が凝縮されるように思います。
とはいえ、これは調理人としての見方であって、カニ、エビ、イカなどの熱烈なファンの方々にとってはまた違う評価基準もあるだろうと思います。刺身に限る、という人もいるし、「焼きガニ」「エビの塩焼き」が最高、という方もおられます。
そういうあたりが食べ物談義の楽しいところです。

さて、そしてまたまたおなじみの「たこ清」さん。

たこ清14今日は宮崎でしたか、鹿児島でしたか、南九州の畜養マグロがありました。
畜養とはいっても、やはり本マグロの身はきれいです。これは、さすがに畜養だけあってトロの部分がとても大きい。

そして、また仕入部の峯村が彼らをおちょくるのですよ。いや、本気なのかもしれませんが。

「連休前の繁盛どきやねんから、そんなケチくさい切り方しとったらあかんで。こんなぐあいに切れへんのかいな」

たこ清11

「あかんて、部長、あかん、て」
たこ清12

「マグロ切るんはぼくらの仕事やって。部長、触ったらあきまへん、て。ほら、上手に切りまっしゃろ。」

たこ清15

ビットデザインスタジオの藤田さん、笑ってビデオ撮影。
そのうち、くいだおれホームページに登場するのかもしれません。
藤田さん2

「部長、今日はこれ、お安くしときますよ。マグロのカブト。これ、まるごと焼いたらお客さん喜びまっせ。いっしょに入れときますよ」
「あほ言え、そんなでかいもん、よう使うかいな」
たこ清13

この店では、ほんとに毎度漫才を聞いているみたいです。


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2008年05月09日

TRIP OF LOVE 後編

このTRIP OF LOVE については、関西ではNHKの特集番組でご存知の方も多いかと思います。
1960年から1969年までのビルボードのヒット曲ばかりを集めて、「不思議の国のアリス」をモチーフにストーリーを構成し、ミュージカルの形にした舞台です。

ストーリーの軸としては、少女キャロラインが1960年代の世界に迷い込み、恋人に出会い、結婚するという筋書き。そこに、ヒッピーのカップル、プレイボーイの青年、スターを夢見る黒人の女性ダンサーなどが登場し、それぞれの人生が描かれてゆきます。

まず開演に先立って出口プロデューサーからストーリーなどの紹介があるのですが、今日は「くいだおれ太郎」と女将を招いていただいたというご紹介と、江戸時代のはじめ以来「大阪のブロードウェイ」であった「道頓堀」という街への思いと、いつもより長めのご挨拶でした。

Wipeout.jpg

舞台写真を撮るのは難しいので、今回、TRIP OF LOVE 事務局から写真を拝借しました。

この写真の'Wipeout'という曲は、NHKの番組をご覧になった方なら一番印象的だと思います。エレクトリック・ギターが印象的な、躍動的な曲です。

今回の「トライアウト」公演というのは、ブロードウェイでの本番に先駆けた、いわば試演のシリーズなので、毎日毎日、演出を少しずつ変えてゆくそうです。曲目を変えたり、入れ替えたりすることもあるようです。

そして、曲のアレンジもけっこう変わっていたり、ひょっとしたらその日のお客さんの反応でアドリブのパートが変わったりするのでしょうか、この日の'Wipeout'のギターはいつもにもまして、ノリノリだったということです。

These boots are made for walkin'.jpg

実際、この7日の公演については、お客様のリアクションがとても良かったようです。ミュージカル・ファンのリピーターや、宝塚歌劇団の俳優さんがたなど、かなりコアなお客様が多かったのかもしれません。

またキャストの皆さんも、「くいだおれ太郎」というゲストの参加で、とても興奮していてもらったそうです。
二幕目の「太郎」の登場は、残念ながら今日のところはまだ写真が手元にないので、インターネットの新聞記事などでご覧ください。

フォトセッション2

そして、終演後にキャスト一同勢揃いして、出口プロデューサーと女将、そして「太郎」も参加してのフォトセッション。

インタビュー5

ずらりと並んだ報道陣に対して、「左に向かってにっこりしてください」、「次は真ん中に」「最後に右側に向かって」と、それぞれちゃんと写るようにサービスするのですね。

一通り撮影できたら、次はインタビューにうつります。
まず、女将に質問、
インタビュー4

出口プロデューサーにも。
インタビュー3

キャストを代表しての質問には、最後の場面で大きなキノコの上に座って「太郎」のお相手をしてくれたラシェルさんがもっぱら。
ラシェルさんはキャストの中でもひときわサービス精神が旺盛でした。この日はオリックス・バファローズの試合を見に行くのよと、とても楽しそうでした。

インタビュー2

そして、日本人キャスト代表としてインタビューを求められたのが鳥居かほりさん。
「イパネマの娘」の場面では、ダンスの主役でした。何でも、鳥居さんのために作った役柄だそうです。とてもエレガントなシーンですが、登場する女性ダンサーの衣装も一着何百万円のオーダーメイドとか。このミュージカルは衣装代もかなりかかっているそうです。

インタビュー6

当初15分程度の予定のインタビュー・タイムは延々40分ほど。
アメリカ人のキャストへの質問には通訳が入ったのですが、それ以外はすべて日本語のみ。みなさん、ずっとニコニコして立っておられましたが、これもけっこうシンドイことだったのでは、と思ってしまいました。

ようやくお開き。
舞台に登場した「太郎」も、「やれやれ、ようやくお役御免です」

太郎引揚げ


さらに出口プロデューサーと太郎と柿木女将はロビーで追加取材。

インタビュー7

「サンデー・ジャポン」は今回も再び。
インタビュー8

そして、帰路へ。
帰り道も密着取材班が。
帰路

道頓堀へ帰り着いて、最後のインタビューです。
出口プロデューサーにサインをいただいたパンフレットを見せながら。
取材班の皆さんも、一日、ご苦労様でした。

帰宅

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2008年05月08日

TRIP OF LOVE 前編

さて、いよいよミュージカル観劇に出発です。
今回は、写真たっぷりでお見せします。

正午前、劇場からお迎えが到着。

お迎え

招待状をいただきました。

招待状

いやはや。人気者です。
こうやって、記者の皆さんが太郎を人間みたいに扱ってくださるのを見るにつけ、太郎がほんとにかわいがっていただいているのだなあ、とありがたいかぎりです。

取材陣3

テレビで写った裏側はこんな感じ。
すごい報道陣です。
後ろで太郎を支えている本田くん、かなりの重労働でした。

取材陣

お迎えのジャンボタクシーに乗り込むところ。
報道陣に囲まれて見えません。

見えません

ここは、カメラ・サービス。
女将が太郎の目と口を動かしてるのです。
なんだか、ほんとに楽しそうな表情ができました。

車中

そして、いよいよ劇場に到着。
出口プロデューサーみずからお出迎えで、太郎も感激です。

到着.jpg

着席して、出口プロデューサーと、演出のジェームスさんと、女将と記念撮影。

no-title

「わてもパンフレット見せてもらお」

no-title

ここでも、メディアさんがこんな感じで。
太郎の右側の1ブロック、全部記者席でした。
これだけカメラが揃うと、とても華やかです。

開演前2

そして、いよいよ、開演。

舞台
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2008年05月07日

太郎のお出かけ

今日はいよいよ、太郎がブロードウェイ・ミュージカル「トリップ・オブ・ラブ」の観劇に出かける日です。

まずはお出かけ前の太郎の支度をご紹介しましょう。

一番大事なことは、太郎がお出かけすると店頭が留守になること。これを、どうするか。

今までは、太郎が留守にするときは店頭に立て看板を出して「お留守」をアナウンスしていたのですが、さすがに今はそうはゆきません。閉店までの間に、「太郎」と写真を撮りにこられるお客様も多いのです。ふだんは「立て看板」もレアな魅力があったようですが、閉店も近い今は、そういう愛想ないことはしたくないのです。

かといって、太郎が店頭に残る、というのは具合が悪い。「お出かけ」用の、手足が動かせる太郎は、もちろん店頭用の太郎とは別ものですが、同時に登場させることはありません。あくまで「太郎は一人だけ」という演出は貫きたいものです。

そこで、今回は留守番に弟の「くいだおれ次郎」を登場させることに。

次郎
この「次郎」、国民の慶事か大阪の慶事にしか登場しないもので、実にレアな存在。この前登場したのは、確か紀宮様のご結婚の時でした。

そういえば、太郎がこうやって初めて「お出かけ」をしたのは、94年の関西国際空港開港のときでした。そのときも、出発当日は次郎が代役をつとめたのでした。

さて、そして太郎ご本人は、というと。
当然、まっさらの衣装に着替えます。太郎の衣装は、専用の布地を反物で買って、いちいち仕立てます。この仕事着はオーダーメイドなのです。

お出かけ用の衣装も一着作ってあったのですが、開けてみると少し傷んでいたので、少々つくろいものを。
杉本さん

これは人事部の杉本の仕事です。
杉本は、若い従業員にとって「お母さん」みたいな存在ですが、こうやって太郎の衣装のつくろいものもしてくれます。

そしてスタンバイ
今回は観劇のお出かけですから、ちょっとお洒落もしなくては。

そこで、背広を新調することに。ぴったりのが見つかりました。こちらはオーダーではなくて、「吊るし」ですが、春らしく、紅白の衣装とも合うピンクの背広。近所のユニクロで買ってもらいました。

応接室で、お迎えを待つ太郎です。右上に見えるのは先代で創業者の山田六郎、左上のは山田の色紙です。

ついでに、足もとも新しいクツを。衣装に合わせて、赤い靴を。こちらはコンバースですね。アメリカのミュージカルですから、アメリカっぽく。
クツ


そして、いよいよお出かけです。今回は、お店の裏通りにクルマでお迎えということで、裏側を開けてスタンバイ。といっても一人で立っていられないので、旧ウラ・くいだおれ店長の本田君がお守役です。
出番前

そして、お店の前にはすでに報道陣が・・・
出番前2


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2008年05月06日

プレスリリース

さて、明日5月7日には「くいだおれ太郎」がミュージカル観劇に出かけます。
今回のように、「太郎」がお出かけするときとか、店頭でいつもと違う衣装に着替えるときなどは、ふだんおつきあいのあるメディアさんにあらかじめ「プレスリリース」を送って、お知らせします。

プレスリリース

プレスリリースにもいろいろな形があると思いますが、「大阪名物くいだおれ」ではファックスで送信しています。

このような体裁のものです。

お伝えする内容によって送り先の数も違いますが、基本は5大紙、朝日、読売、毎日、日経、産経の5紙。それに、通信社つまり共同通信社と時事通信社。通信社からは各地方紙とスポーツ紙、夕刊紙に配信してもらえるので助かります。

スポーツ紙は数も多く、そのときどきでおつきあいのある記者さんがいたりいなかったりすることがあるので、送り先もたびたび変わります。「くいだおれ」からプレスリリースを流すなんて年に何度もあるわけではないので、けっこう記者さんの異動もあるのですね。

また、各紙とも社会部宛にお送りするのですが、おつきあいのある記者さんが多ければ、その分宛先も多くなります。

あと、テレビはもっと大変です。主に在阪の局が中心ですが、番組ごとに宛先が違いますし、大きなイベントになれば東京のキー局にもリリースを流しますから、一チャンネルで十カ所くらい流すこともあります。



「くいだおれ」がリリースを送信する宛先はふつう30から50くらいですが、今回の観劇については、ご招待してくださる「TRIP OF LOVE」の事務局とセットでお送りしたので(招待する方と、していただく方の両方から)、文化部とか専門誌、情報誌など合計300以上の宛先がありました。

何せ300なんていう数は初めてのもので、ファックスの送信機に蓄積してはいちいち送信し、と、送信をはじめてから終わるまで8時間くらいかかりました。いやはや、大変です。

で、プレスリリースの内容ですが、今回のように「太郎」が何かをする場合、味気のないリリースをお送りしても面白くないので、「太郎」からのメッセージという形でお送りします。

たとえば、今回はこんな感じです。ちょっと長いですが、丸ごとご紹介しましょう。

「大阪名物くいだおれ より お知らせ

報道関係者各位

「ひゃあー! わて、ご招待されましてん。
 大阪で、ブロードウェイやて!」

 このたび、OBPのシアターBRAVA!で上演中のブロードウェイ・ミュージカル「TRIP OF LOVE」より、くいだおれ太郎と柿木女将に観劇のご招待をいただきました(5月7日)。
 つきましては、以下のとおり、「太郎」のコメントをお伝えさせていただきます。また、明日、店頭の「太郎」に新しいフキダシを取り付ける予定です。
 取り急ぎ、ご連絡申し上げます。よろしくどうぞ。

「閉店の記者会見で、社長はんと女将さんが言わはった。道頓堀はもともと芝居の街やったのに、小屋がのうなって、さみしうなって、「大阪名物くいだおれ」もそろそろお役ごめんやなあ、いうて。
 ほんまに、芝居がのうなって、芝居がえりのお客さんもだんだん少のうなって、わてもえらいさみしい思いや。昔は、お芝居みて、おいしいもん食べて、いうのんがこの街の楽しみやったのになあ。
 なつかしいなあ、思てたら、わて、アメリカの本場の芝居にご招待されましてん。
 本場の、いうたかて、アメリカまで行くわけやおまへん。アメリカの、本場のミュージカルが大阪へ来てはって、日本のお方がそれを仕切ってはるんやそうな。道頓堀かいわいで育ちはった方やとかで、わてのこと、えらいなつかしい、いうて、女将さんといっしょにご招待してくれはりましてん。
 アメリカの、本場の役者さんが大阪に来はる、いうのんは、最初で最後かもしれん、いうことですねん。見にいきはったお方の話では、ほんまにすごい、一流のなかの一流の芝居や、いうことやから、わて、ほんまに楽しみにしてまんねん。
 長いこと、がんばって太鼓たたいてたら、ええこともおまんねんなあ。あと2週間、まちどおしいなあ。」

 平成20年4月24日
   大阪名物くいだおれ ・・・・ 」

こういうイベントをやるたびに、「太郎の言葉」をいっしょけんめい考えるのも女将以下役員たちの仕事なのです。まあ、そこまで凝らなくてもよいことかもしれませんが。

で、リリース翌日の「太郎」のフキダシはこんな感じでした。

フキダシ ブロードウェイ.jpg

posted by くいだおれ太郎 at 22:29| Comment(0) | 日記

2008年05月05日

「紋日」

お正月三が日、お盆の三日間、そしてゴールデンウィークの間をこの業界では「紋日(もんび)」といいます。
「もんび」というのは、別に語源があるようですが、お祝い事やお祭りがある日のことで、特に人出が多かったり、特別の慣習があったりする日、ということだそうです。昔は1月10日前後の「戎(えびす)さん(「えべっさん」)」の日も紋日になっていたのですが、今はこれに替わって五月の連休が紋日ということになっています。

連休
「大阪名物くいだおれ」にとっては、今年は特に閉店を惜しんでおいでいただいたお客様でごったがえしていることもありますが、例年、紋日の店頭はすごいにぎわいです。

毎年、紋日の前には、その日にそなえて厨房やホールのスタッフを十分に確保し、食材の仕入れもいつもよりかなり多くなります。

特にここ数年は「くいだおれオムライス」の人気が高いので、玉子の仕入れはしっかりと。昨日は一日に玉子2000個を仕入れたということですが、前日までの在庫を考えればもっと使ったのかもしれません。

洋食厨房

「くいだおれオムライス」は、サフランライスの上にふわふわのオムレツを乗せる、「オープンタイプ」というタイプのオムレツです。オムレツにナイフを入れるとそれがとろりと広がるから「オープン」タイプです。

「くいだおれ」のは、お一人様分で玉子3個強。紋日には一日にこのオムレツを数百個巻きます。一個巻くのに所要時間は1分ほどですから、300個で5時間、600個で10時間。はい。そのぐらいですね。だからお昼や夜のピークの時間帯には、職人2、3人がかかりっきりです。玉子2000個ということは、ざっと600食ということですね。

そのほかにも、「オムレツドリア」などサフランライスを玉子で巻いたものもありますから、オムレツの個数としては600ではきかないでしょう。

この、オムレツを巻くところはユーチューブでご覧いただけます。
http://www.youtube.com/cuidaore

巻いているのは、ベテランの職人さん、佐々木さんです。

このバーナーの火の強さを見てください。業務用のバーナーの火力は家庭用のバーナーの3倍くらいだそうですが、これをほとんど全開にして、フライパンを温めてバターを溶かして卵液を流し込み、素早くかき混ぜながら一気に火を通します。

そして、フライパンの向こう側にまとめて、ひっくり返します。これも、ゆっくりやるならフライパンの柄の付け根をトントン叩いて少しずつひっくり返すのですが、手早くやるときはこのビデオのように一気に。これは見ているほど簡単なものではなくて、慣れないと絶対できません。

業務用の玉子は仕入れの単位が「ケース」、すなわち10kg。約160個です。2000個といえばざっと12ケース。こうなると、玉子を割って溶くだけでもたいへんです。業務用には、生卵を割って溶いた「液卵」というものも出回っていますが、仕入部によれば「あれはまずくて使えん」のだそうです。「液卵」はふつうに使われているから「まずくて使えん」ことはないと思うのですが、このあたりが「くいだおれ」のこだわりなのでしょうか。

ところで、ゴールデンウィークとなるとやはり遠来のお客様が多いのかと予想していたのですが、ご予約のお客様で圧倒的に多かったのは、大阪近辺のお客様でした。ご家族で揃って食事をするとなるとやはり連休のような機会しかなかなかないようです。

これまで「紋日」はご予約がほとんどなくて、当日のお客様ばかりだったのですが、この連休はご予約で昼も夜も、お座敷がいっぱいになりました。あらためて、地元のお客さまに閉店を惜しんでいただいていること、一同ありがたく感じ入っている次第です。


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2008年05月04日

くいだおれ流「地産地消」

5月の「大阪名物くいだおれ」は、「くいだおれ流地産地消」と称して、全国の旬の食材を集めたお料理をお出ししています。

「地産地消」という言葉は、もともとは地元で採れる農産物などを中心に消費するという意味だったようですが、今はその意味合いが少し変わり、「伝統食」を見直すという意味で使われているようです。

そこで、くいだおれ流の地産地消を追求してゆくと、「大阪の伝統料理」。
ということは、「日本料理」ということになります。
太郎のうしろにずらりと並べた看板をご覧ください。

緑提灯2

「大坂は天下の台所」とはよく知られた言葉ですが、逆に言えば、江戸時代には大坂以外の土地では、全国のモノが手に入る、ということがほとんどなかったということではないでしょうか。今の日本では、たぶんどこへ行っても地元の産品だけで生活が成り立っているということはないでしょうけれども、江戸時代に全国の産品が手に入る街はほとんどなかったのでしょうね。

それで、「日本料理」「会席料理」も大阪で発展することになったわけですが、さてそこで考えてみると、「会席料理」にはどれだけ「大阪産」のものが使われているか・・・

実は、「大阪特産」の商品ってあまりないのです。
あえて言えば、鱧(はも)くらいでしょうか。たしかに、鱧はよく使います。4月のはしりの時期から、9月ころの名残鱧まで、鱧はめいっぱい使いますね。でも、そのくらい。

日本料理を象徴する「鯛」も、本場は明石、鳴門といいますから、兵庫県、徳島県。「明石の蛸」も知られていますが、やっぱり「明石」です。
日本酒も、もともとは大阪市内で造ったものが多かったそうですが、江戸時代の間にその本場は「灘」「伏見」、やっぱり兵庫県や京都府ですね。

数えればきりがありませんが、会席料理で多用される食材は大阪そのものより、海の物でいえば明石、淡路、和歌山、陸の物なら丹波(兵庫県と京都府)の松茸、黒豆、大豆や京都の野菜、お茶、など。ほかにも下関の河豚、若狭の鯖、甘鯛、などなど。

たしかに、鮃(ひらめ)だの烏賊、鰈(カレイ)など、大阪湾で捕れるだろうものもたくさんありますが、「大阪産でなきゃ!」というものはとても少ない。

なにより、お米がそうですね。日本全国のお米が集まるところが大坂の米市場ですから、いちばん大事なお米からして、必ずしも「大阪産」ではない。さらに、日本料理の命ともいえる鰹昆布出汁だって、大坂で鰹は捕れないし、昆布なんてよその地方であまり使わなかったものを、はるばる北海道から取り寄せていたのですからね。

要するに、大阪料理、会席料理というのは昔からウインブルドン現象だったというわけでしょうか。

というわけで、「くいだおれ流地産地消」となると、こうやって全国から集まってくることになってしまうわけです。それでも、できるだけ大阪のものを使うようにしているのですが。茄子、菊菜、キャベツ、ネギ、などなど。

緑提灯

ところで、真ん中のこの緑提灯は、「国産食材の使用レベル」を示すものです。
独立行政法人の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の理事の方が発案されたそうで、カロリーベースで国産食材を50%以上使っていれば「星ひとつ」、60%、70%とふえるごとに星が増えて、最高は90%以上の星五つなのだそうです。
「くいだおれ」では「80%以上」の星4つをもらっています。「くいだおれ」のお客様は味にうるさい方が多いので、もともと外国産はあまり使っていなかったのです。

posted by くいだおれ太郎 at 14:53| Comment(0) | 日記

2008年05月01日

翌月へ向けて 続

さて、写真の話の続きの前に、もうひとつの月末のルーティーン、割烹部の会席料理の説明会、略して「料説」(りょうせつ)です。

料説1.jpg

毎月月末になると、こうやって仲居の姐さんがたを集めて、調理長が翌月の会席の説明をします。
「くいだおれ」では、7000円の会席を基本として、これよりも安いグレードのものはどのお皿が省略されるとか、どのお皿の代わりに何が入るとか、逆に高いグレードなら何が追加されるとか、どれがどう変わるとか。

また、仲居がお客様に料理の説明をきちんとできるように、それから、どのような手順で準備してお客様にお出しするものか、そういうことを逐一、調理長から説明するわけです。

料説2.jpg

画面右側から竹間調理長、その隣が村井マネージャーです。

こうやって、毎月更新する会席料理の打合せをするわけですが、現実にはなかなか打合せ通りにできるものでもありません。

調理場は、温かい物は温かく、冷たいものは冷たくお出しすることに神経を集中しています。それから、お客様をお待たせしないことも。だから、ホールのサービスがちょっと遅いとイライラするものです。

ところが、現場はそうばかりもゆきません。お客様はおしゃべりに夢中になるものですし、それぞれ召し上がる早さも違います。
また、次から次から料理が出てくると、それをこなすのが精一杯になって、おしゃべりどころか、お料理を楽しんでいただくことすらできなくなります。

このあたりの加減が難しいのは、和食の会席料理でも、西洋料理のコースでも同じことですね。
ホールから調理場へはいちいち合図を出すようにしているのですが、それでもなかなか納得のゆかないことも多いようです。お客様の組数も多いですしね。合図があって、今の今では出せないことも多いでしょう。

特に調理場にとっては、熱々のものを調理場からお出ししても、お客様のテーブルに届くときにはけっこう冷めてしまうことも多い。だから、料理を出すタイミングにはとても神経質になります。帝国ホテルのフランス料理でも、お客様に熱々、あるいは温々(ぬくぬく)を召し上がっていただくために、ボーイが素手では持てないほどお皿を熱くするものだと聞いたことがあります。

お座敷で召し上がるお客様には、そんな苦労はなかなかわからないと思います。また、この苦労がおわかりになるようでは困るわけです。せいぜい「料理が遅いな」と感じられるくらいでなければ。

調理場もホールも、毎日毎日、「今日はお料理のすすみ具合がうまくいった」とか、「今日はちぐはぐだった」と思いながらやっているようですが、お客様にとってはいかがでしょうか。

私ども、お料理を召し上がっていただく側としては、「今日はお料理の進行が良い具合だった」と思っていただけることもありがたいことですが、でも、それよりも、料理の進み具合が早いか遅いかなんて気にならずにお食事を楽しみ、会話を楽しんでいただくのが、何よりの喜びなのです。
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2008年04月30日

翌月へ向けて

「大阪名物くいだおれ」では、月末になると翌月へ向けてのルーティン作業がはじまります。といっても、請求の締めとか支払いの段取りとか、そういう味気ないことではなくて、もっと「来月が楽しみ!」というたぐいの作業です。

まず、ホームページの更新。

撮影1

「くいだおれ」のホームページには、澤雄司さんの「澤スタジオ」に料理の撮影をしてもらっています。
澤さんといえば、この世界では知らない人のない「御大」だそうです。「だそうです」なんて他人事みたいな言い方なのは、もともと「くいだおれ」とはプライベートなおつきあいから仕事をお願いすることになったので、はじめからそんなにすごいカメラマンだとは知らなかったということです。

澤さんはニューヨークで写真の仕事をしておられて、その頃は特にジャンルを問わないお仕事だったそうですが、帰国後、本格的な料理の勉強をされた奥様の影響もあって、そしてもともとご本人がかなりの美食家であることもあって、料理写真といえば澤さん、ということになっていった、ということです。

ちょっと前までは「フィガロ」とか「Pen」のお仕事もされていたとか。また、「あまから手帖」の初期のスタッフでもあったとか。家族営業の「くいだおれ」はまったく不勉強でして、ハイアットでのお仕事を知ってのけぞったのも最近の話。
「くいだおれ」はすごいカメラマンにお願いしていたのだなあ、と一同あらためて驚いたというのも、のんきな話でした。
おつきあいをはじめる前から、澤さんは「あまから手帖」に「もっと「くいだおれ」をまじめにとりあげなきゃ!」と言っていただいていたそうです。ありがたい限りですが、残念ながらあまり取り上げていただいてませんでした。

もし、今までに「くいだおれ」のホームページを見て「美味しそう」と思っていただけたなら、それはひとえに写真の効果があると思います。美味しそうに写すというのは、やはり腕前と、そしてその料理に対する愛情のようですね。

撮影2

今日は「御大」澤さんは体調不良で、急遽お弟子さんの池本くんが撮影。
「くいだおれ」のホームページではスタイルがだいたい決まってきていることもあり、ふだんから撮影に参加している池本くんの腕前は、澤さんも「彼なら大丈夫」というお墨付きです。たしかに、彼はまだ若いですがセンス良いです。

料理写真でむずかしいのは、「美味しそうな色」を写真に写すのがむずかしいことですね。
「美味しそう」な色とは、たとえばお肉が焼けた茶色とか、あるいは生湯葉のクリーム色。白身魚のお造りの透明感があって温かみのある白とか、料理にかけた餡のつやつやした色。

これをそのまま、見たままに撮るのはほんとに難しいです。
ところが、毎月毎月澤さんに撮ってもらうと、あら不思議、ほんとに見たままに撮れるのですね。居酒屋部の野里調理長なんか、「わしの、ほんものより美味そうやなあ」なんて言ってますが。

そして、良い写真を撮ってもらうというのは調理人のモチベーションも高めるみたいで、澤さんが撮影をはじめてから、「お料理が、見る見るきれいになってますね」とおっしゃってました。
良い相乗効果かもしれません。

今月の写真でいえば、会席の目玉の「トマトの桜海老射込み」のトマトの透明感のあるつやとか、射込んだ桜海老の練り物の白さ、あるいは会席の前菜の「いずみや」のおからのところのナチュラルな白い色と質感とか、そのあたりにご注目ください。

そうそう、それから居酒屋部門のトップの生湯葉の写真とか。野里は、「あの写真の生湯葉みたいな美味しそうな盛りつけは、わし、もう、ようしません」(関西地方以外の方への注釈として、「ようしません」は「できません」の意味です。高校の古文漢文で習った「能(よ)くせぬ」が口語になったものでしょうね。よけいな寄り道ですが)と言ってます。

お料理と写真の話、長くなってしまいましたので、続きはまた明日。
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2008年04月29日

くいだおれ太郎グッズについて

「くいだおれ太郎」のオリジナル・グッズについて、いろいろお問い合わせをいただいています。

まず、一番多いのが
「グッズの通販はないの?」
というお問い合わせですが、通販等はございません。

「太郎グッズ」の始まりは1993年に発売されたキーホルダーです。これはもともと、伴ピーアール株式会社という在阪のPR会社が「大阪のお土産」として企画したものの一つです。

大阪には、よその地方から来られた方々が「大阪へきたしるし」として持ち帰ることのできるようなおみやげ品がとても少ない、ということで、「かに道楽」のかに、「づぼらや」のふぐ、そして「くいだおれ」の人形を「御三家」としてキーホルダーにしたものが最初でした。

そして発売してみると、「くいだおれ人形」のキーホルダーが販売の9割を占め、わずか2年ほどで百万個が売れたことから、「くいだおれ人形」のバリエーションが増やされてきたものです。

しかし、これはあくまで「大阪のおみやげ」として企画されたものですから、販売は大阪市内のおみやげ店やキオスクに限定してきました。エリア外の店に卸した業者へは取引停止をもって警告するなどして、あくまで「大阪限定」、「大阪へ足をはこんでいただいた方のためのお土産品」を徹底してきた次第です。

また弊社としましても、「くいだおれ」は料理店であり、「太郎」を売って商売しているのではない、という姿勢から、「太郎」を使ったグッズを本格的に展開することはせず、伴ピーアールさんはじめ、弊社の意思をご理解いただける方々とのみコラボレートして、「大阪のお土産」「大阪名物くいだおれ」へおいでいただいた方々のためのおみやげ」として、商品を限定して販売してきました。

という次第ですから、少なくとも「大阪名物くいだおれ」閉店の7月8日までは、こうした方針を守って、弊社店頭と大阪市内限定販売とするつもりです。ご理解いただきたく存じます。

さて、次に多いのが、インターネット・オークション等に出品されているグッズに関して、「○○はくいだおれ公認なの?」というお問い合わせです。

実は、「くいだおれ太郎」グッズに関しては類似品が大変多く、私どもがたいへんに悩まされているところです。
「くいだおれ太郎」は平面デザイン、立体デザインともに商標登録してあるもので、類似品やデザインの無断使用品を見つけ次第、弁護士を通じて製造・販売中止を警告し、時には訴訟にも訴えてきました。

こうした類似品・無断使用品は絶えることがなく、私どもの訴えに応じて、速やかに製造・販売を中止される業者さんもおられれば、「まねはしていない」として製造・販売を続ける業者もあります。
また、製造・販売が中止されてもすぐに回収ということにはなかなかならず、相当数が出回っているようです。インターネットでのオークションでも、そうした類似品等が多数出回っているようです。

「くいだおれ太郎グッズ」について、弊社が公認しているものには、このようなタグがついております。



また、他社とコラボレートした商品は、伴ピーアール社とのコラボ商品で、次のようなタグがついています。



このほかのコラボ商品はタカラトミー社製のゼンマイ仕掛けの人形(製造終了品ですが、再生産を検討中とのことです)だけです。

この二つのタグがついていないものは、すべて類似品・無断使用品です。なお、今のところ、このタグの偽造品は出回っていないようです。

お問い合わせの中に、「サンリオ社製の「くいだおれキティ」はくいだおれとのコラボ商品ですか」というご質問が多いようですが、これは弊社の公認商品、コラボ商品ではありません。
サンリオ社製の商品は赤白の縞模様ではなく、水玉模様になっています。したがって商標の無断使用にあたるわけでもないようですが、しかし三角帽子や太鼓など、「くいだおれ太郎」のキャラクターときわめて類似しているため、製造販売の中止を申し入れました。しかし、すでに卸された商品は回収されていないために、相当数が出回っているものと思われます。

「くいだおれ太郎グッズ」はこれまでも大変な人気をいただいております。特に閉店のお知らせ以後、製造が追いつかず品不足になっている商品もあり、お客様にはご迷惑をおかけしております。
目下、不足しておりますグッズについては急遽増産をしております。
また、閉店につきまして新しくデザインした、記念グッズも随時発売する予定です。

今しばらくお待ちいただきますよう、お願いいたします。また、類似品等にはくれぐれもご注意くださいませ。
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