椀ものは日本料理の華。
椀ものというのは、見た目が地味だし、味も薄味で、会席のコースのなかではなんとなく過ぎ去ってしまう印象です。
が、会席料理では調理人が一番力を入れるものといってもよい一品。
今月の会席の椀ものは、蓬(よもぎ)豆腐を大豆のシートでくるんで、蒸したもののお吸い物。
蓬豆腐っていうのは、ごま豆腐に蓬が入ったものと思っていただければ。
まず、蓬豆腐を切り分けて、
大豆シートの上に置いて、下ごしらえした筍とワカメをのせます。ワカメと筍は、セットで「若竹」と呼んで、和食の春の定番コンビです。「若竹メバル」といえば、旬のメバルの煮付けにワカメと筍を添えた一品。などなど。
この大豆シートというのは、大豆を粉にしてシート状にしたものだそうです。「くいだおれ」でも初めて使う食材です。
そして、これをくるむ。
これを蒸し器で蒸すと、こんなふうにぴったりと豆腐を包み込む感じになります。
春の山菜を添えて、最後に吸い地(吸い物のおつゆのこと)を張って出来上がり。
会席の椀もの、「あっという間に食べちゃった」とおっしゃるお客様も多いです。
気がついたらお椀が空っぽになっていたと。
そういうの、調理場は喜びます。よい吸い物は、おいしいカツオ昆布出汁がベースですが、すうーっと、体にしみこむように飲んでいただければ上手にできた証拠。
担当は、吉岡くんでした。
2008年04月21日
割烹部の調理場 その3 蓬豆腐
posted by くいだおれ太郎 at 22:57| Comment(0)
| 日記
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