NHK大阪局が、「かんさい熱視線」という番組で「大阪名物くいだおれ」をとりあげるべく、精力的な取材をしてくれています。
その中で、焦点があたっている一人が、すでに本ブログにも登場した仕入部の峯村。
彼は「くいだおれ」最古参の社員で、入社以来半世紀近く、仕入の仕事をしてきました。
峯村の仕事をおいかけるうちに、NHKから「これを」というリクエストがあったのが、おなじみ、中央市場「たこ清」さんとのカラミ。
本ブログでの会話が面白いということで、書き手としてはまったく光栄なお話です。
そこで、またまた早朝のチュウオウへ。
いつもはあちこち寄ってゆくのですが、この日は「田中鮪」さんから「たこ清」さんへ直行。
打合せを進めながらも、バンバン出ます。いつもの掛け合い。
といっても、天下のNHKが朝も早くから掛け合い漫才だけを取りにくるわけではありません。やはり、「たこ清」さんで仕入れる食材も注目の的。
鯛、鮃、カンパチ、しまあじ、ハマチなど、料理店で使う魚は養殖物が主流になっています。値段が安いこともあるし、価格と品質が安定しているからです。また、実のところ養殖物のほうが「美味しい」と感じるお客様が多いのです。マグロについても、卵からの完全養殖ではなく、稚魚を捕ってきて生け簀で育てる「畜養」ですが、ほとんどのお客様が脂ののった畜養のほうが「おいしい」とおっしゃいます。
その中で、目下「たこ清」さんから仕入れているのは、天然の本マグロと天然の明石の活け蛸。
蛸は養殖というものがないので当然ですが、輸入もののゆでダコが当たり前の中、明石の活け蛸はやはり希少です。
本マグロも、天然などふつうは高くて「くいだおれ」の価格ではなかなか使えないのですが、今の季節は対馬海峡から日本海に入った小型の本マグロが境港に揚がる時期で、「くいだおれ」の会席でもそれを使っているのです。
蛸とマグロ、峯村が仲卸とやりとりをしながら品定め、値段の交渉をして仕入れる。それを調理場がさばいてゆく、というのは、案外少ない光景です。料理店はもとより、町の魚屋さんだって、自ら市場へ足を運ぶなんてほとんどないのではないでしょうか。
マグロのカラミを撮ったあとは、ご主人が競りから帰ってくるのを待って、蛸のほうのカラミも撮影。たった25分の番組、それもそのほんの一部のシーンのためにすごい労力をかけるのがNHKですね。この番組のために、別の「くいだおれ」OBをたずねて岐阜まで取材にいったそうです。
それだけの労力(コスト)をかけることの是非は別として、取材にかけるマンパワーや調査力の量には圧倒されます。
「かんさい熱視線」は閉店後の7月11日夜放送予定とのことです。関西圏のローカル番組ですが、結果がよければ全国放送にもなるとのこと。ぜひ、全国放送までゆくことを期待しています。
2008年07月04日
「かんさい熱視線」
posted by くいだおれ太郎 at 23:00| Comment(1)
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