2008年05月04日

くいだおれ流「地産地消」

5月の「大阪名物くいだおれ」は、「くいだおれ流地産地消」と称して、全国の旬の食材を集めたお料理をお出ししています。

「地産地消」という言葉は、もともとは地元で採れる農産物などを中心に消費するという意味だったようですが、今はその意味合いが少し変わり、「伝統食」を見直すという意味で使われているようです。

そこで、くいだおれ流の地産地消を追求してゆくと、「大阪の伝統料理」。
ということは、「日本料理」ということになります。
太郎のうしろにずらりと並べた看板をご覧ください。

緑提灯2

「大坂は天下の台所」とはよく知られた言葉ですが、逆に言えば、江戸時代には大坂以外の土地では、全国のモノが手に入る、ということがほとんどなかったということではないでしょうか。今の日本では、たぶんどこへ行っても地元の産品だけで生活が成り立っているということはないでしょうけれども、江戸時代に全国の産品が手に入る街はほとんどなかったのでしょうね。

それで、「日本料理」「会席料理」も大阪で発展することになったわけですが、さてそこで考えてみると、「会席料理」にはどれだけ「大阪産」のものが使われているか・・・

実は、「大阪特産」の商品ってあまりないのです。
あえて言えば、鱧(はも)くらいでしょうか。たしかに、鱧はよく使います。4月のはしりの時期から、9月ころの名残鱧まで、鱧はめいっぱい使いますね。でも、そのくらい。

日本料理を象徴する「鯛」も、本場は明石、鳴門といいますから、兵庫県、徳島県。「明石の蛸」も知られていますが、やっぱり「明石」です。
日本酒も、もともとは大阪市内で造ったものが多かったそうですが、江戸時代の間にその本場は「灘」「伏見」、やっぱり兵庫県や京都府ですね。

数えればきりがありませんが、会席料理で多用される食材は大阪そのものより、海の物でいえば明石、淡路、和歌山、陸の物なら丹波(兵庫県と京都府)の松茸、黒豆、大豆や京都の野菜、お茶、など。ほかにも下関の河豚、若狭の鯖、甘鯛、などなど。

たしかに、鮃(ひらめ)だの烏賊、鰈(カレイ)など、大阪湾で捕れるだろうものもたくさんありますが、「大阪産でなきゃ!」というものはとても少ない。

なにより、お米がそうですね。日本全国のお米が集まるところが大坂の米市場ですから、いちばん大事なお米からして、必ずしも「大阪産」ではない。さらに、日本料理の命ともいえる鰹昆布出汁だって、大坂で鰹は捕れないし、昆布なんてよその地方であまり使わなかったものを、はるばる北海道から取り寄せていたのですからね。

要するに、大阪料理、会席料理というのは昔からウインブルドン現象だったというわけでしょうか。

というわけで、「くいだおれ流地産地消」となると、こうやって全国から集まってくることになってしまうわけです。それでも、できるだけ大阪のものを使うようにしているのですが。茄子、菊菜、キャベツ、ネギ、などなど。

緑提灯

ところで、真ん中のこの緑提灯は、「国産食材の使用レベル」を示すものです。
独立行政法人の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の理事の方が発案されたそうで、カロリーベースで国産食材を50%以上使っていれば「星ひとつ」、60%、70%とふえるごとに星が増えて、最高は90%以上の星五つなのだそうです。
「くいだおれ」では「80%以上」の星4つをもらっています。「くいだおれ」のお客様は味にうるさい方が多いので、もともと外国産はあまり使っていなかったのです。

posted by くいだおれ太郎 at 14:53| Comment(0) | 日記