2008年05月01日

翌月へ向けて 続

さて、写真の話の続きの前に、もうひとつの月末のルーティーン、割烹部の会席料理の説明会、略して「料説」(りょうせつ)です。

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毎月月末になると、こうやって仲居の姐さんがたを集めて、調理長が翌月の会席の説明をします。
「くいだおれ」では、7000円の会席を基本として、これよりも安いグレードのものはどのお皿が省略されるとか、どのお皿の代わりに何が入るとか、逆に高いグレードなら何が追加されるとか、どれがどう変わるとか。

また、仲居がお客様に料理の説明をきちんとできるように、それから、どのような手順で準備してお客様にお出しするものか、そういうことを逐一、調理長から説明するわけです。

料説2.jpg

画面右側から竹間調理長、その隣が村井マネージャーです。

こうやって、毎月更新する会席料理の打合せをするわけですが、現実にはなかなか打合せ通りにできるものでもありません。

調理場は、温かい物は温かく、冷たいものは冷たくお出しすることに神経を集中しています。それから、お客様をお待たせしないことも。だから、ホールのサービスがちょっと遅いとイライラするものです。

ところが、現場はそうばかりもゆきません。お客様はおしゃべりに夢中になるものですし、それぞれ召し上がる早さも違います。
また、次から次から料理が出てくると、それをこなすのが精一杯になって、おしゃべりどころか、お料理を楽しんでいただくことすらできなくなります。

このあたりの加減が難しいのは、和食の会席料理でも、西洋料理のコースでも同じことですね。
ホールから調理場へはいちいち合図を出すようにしているのですが、それでもなかなか納得のゆかないことも多いようです。お客様の組数も多いですしね。合図があって、今の今では出せないことも多いでしょう。

特に調理場にとっては、熱々のものを調理場からお出ししても、お客様のテーブルに届くときにはけっこう冷めてしまうことも多い。だから、料理を出すタイミングにはとても神経質になります。帝国ホテルのフランス料理でも、お客様に熱々、あるいは温々(ぬくぬく)を召し上がっていただくために、ボーイが素手では持てないほどお皿を熱くするものだと聞いたことがあります。

お座敷で召し上がるお客様には、そんな苦労はなかなかわからないと思います。また、この苦労がおわかりになるようでは困るわけです。せいぜい「料理が遅いな」と感じられるくらいでなければ。

調理場もホールも、毎日毎日、「今日はお料理のすすみ具合がうまくいった」とか、「今日はちぐはぐだった」と思いながらやっているようですが、お客様にとってはいかがでしょうか。

私ども、お料理を召し上がっていただく側としては、「今日はお料理の進行が良い具合だった」と思っていただけることもありがたいことですが、でも、それよりも、料理の進み具合が早いか遅いかなんて気にならずにお食事を楽しみ、会話を楽しんでいただくのが、何よりの喜びなのです。
posted by くいだおれ太郎 at 23:14| Comment(0) | 日記