さて、いよいよミュージカル観劇に出発です。
今回は、写真たっぷりでお見せします。
正午前、劇場からお迎えが到着。
招待状をいただきました。
いやはや。人気者です。
こうやって、記者の皆さんが太郎を人間みたいに扱ってくださるのを見るにつけ、太郎がほんとにかわいがっていただいているのだなあ、とありがたいかぎりです。
テレビで写った裏側はこんな感じ。
すごい報道陣です。
後ろで太郎を支えている本田くん、かなりの重労働でした。
お迎えのジャンボタクシーに乗り込むところ。
報道陣に囲まれて見えません。
ここは、カメラ・サービス。
女将が太郎の目と口を動かしてるのです。
なんだか、ほんとに楽しそうな表情ができました。
そして、いよいよ劇場に到着。
出口プロデューサーみずからお出迎えで、太郎も感激です。
着席して、出口プロデューサーと、演出のジェームスさんと、女将と記念撮影。
「わてもパンフレット見せてもらお」
ここでも、メディアさんがこんな感じで。
太郎の右側の1ブロック、全部記者席でした。
これだけカメラが揃うと、とても華やかです。
そして、いよいよ、開演。
2008年05月08日
TRIP OF LOVE 前編
posted by くいだおれ太郎 at 22:54| Comment(0)
| 日記
2008年05月07日
太郎のお出かけ
今日はいよいよ、太郎がブロードウェイ・ミュージカル「トリップ・オブ・ラブ」の観劇に出かける日です。
まずはお出かけ前の太郎の支度をご紹介しましょう。
一番大事なことは、太郎がお出かけすると店頭が留守になること。これを、どうするか。
今までは、太郎が留守にするときは店頭に立て看板を出して「お留守」をアナウンスしていたのですが、さすがに今はそうはゆきません。閉店までの間に、「太郎」と写真を撮りにこられるお客様も多いのです。ふだんは「立て看板」もレアな魅力があったようですが、閉店も近い今は、そういう愛想ないことはしたくないのです。
かといって、太郎が店頭に残る、というのは具合が悪い。「お出かけ」用の、手足が動かせる太郎は、もちろん店頭用の太郎とは別ものですが、同時に登場させることはありません。あくまで「太郎は一人だけ」という演出は貫きたいものです。
そこで、今回は留守番に弟の「くいだおれ次郎」を登場させることに。
この「次郎」、国民の慶事か大阪の慶事にしか登場しないもので、実にレアな存在。この前登場したのは、確か紀宮様のご結婚の時でした。
そういえば、太郎がこうやって初めて「お出かけ」をしたのは、94年の関西国際空港開港のときでした。そのときも、出発当日は次郎が代役をつとめたのでした。
さて、そして太郎ご本人は、というと。
当然、まっさらの衣装に着替えます。太郎の衣装は、専用の布地を反物で買って、いちいち仕立てます。この仕事着はオーダーメイドなのです。
お出かけ用の衣装も一着作ってあったのですが、開けてみると少し傷んでいたので、少々つくろいものを。
これは人事部の杉本の仕事です。
杉本は、若い従業員にとって「お母さん」みたいな存在ですが、こうやって太郎の衣装のつくろいものもしてくれます。
そして
今回は観劇のお出かけですから、ちょっとお洒落もしなくては。
そこで、背広を新調することに。ぴったりのが見つかりました。こちらはオーダーではなくて、「吊るし」ですが、春らしく、紅白の衣装とも合うピンクの背広。近所のユニクロで買ってもらいました。
応接室で、お迎えを待つ太郎です。右上に見えるのは先代で創業者の山田六郎、左上のは山田の色紙です。
ついでに、足もとも新しいクツを。衣装に合わせて、赤い靴を。こちらはコンバースですね。アメリカのミュージカルですから、アメリカっぽく。
そして、いよいよお出かけです。今回は、お店の裏通りにクルマでお迎えということで、裏側を開けてスタンバイ。といっても一人で立っていられないので、旧ウラ・くいだおれ店長の本田君がお守役です。
そして、お店の前にはすでに報道陣が・・・
まずはお出かけ前の太郎の支度をご紹介しましょう。
一番大事なことは、太郎がお出かけすると店頭が留守になること。これを、どうするか。
今までは、太郎が留守にするときは店頭に立て看板を出して「お留守」をアナウンスしていたのですが、さすがに今はそうはゆきません。閉店までの間に、「太郎」と写真を撮りにこられるお客様も多いのです。ふだんは「立て看板」もレアな魅力があったようですが、閉店も近い今は、そういう愛想ないことはしたくないのです。
かといって、太郎が店頭に残る、というのは具合が悪い。「お出かけ」用の、手足が動かせる太郎は、もちろん店頭用の太郎とは別ものですが、同時に登場させることはありません。あくまで「太郎は一人だけ」という演出は貫きたいものです。
そこで、今回は留守番に弟の「くいだおれ次郎」を登場させることに。
この「次郎」、国民の慶事か大阪の慶事にしか登場しないもので、実にレアな存在。この前登場したのは、確か紀宮様のご結婚の時でした。
そういえば、太郎がこうやって初めて「お出かけ」をしたのは、94年の関西国際空港開港のときでした。そのときも、出発当日は次郎が代役をつとめたのでした。
さて、そして太郎ご本人は、というと。
当然、まっさらの衣装に着替えます。太郎の衣装は、専用の布地を反物で買って、いちいち仕立てます。この仕事着はオーダーメイドなのです。
お出かけ用の衣装も一着作ってあったのですが、開けてみると少し傷んでいたので、少々つくろいものを。
これは人事部の杉本の仕事です。
杉本は、若い従業員にとって「お母さん」みたいな存在ですが、こうやって太郎の衣装のつくろいものもしてくれます。
そして
今回は観劇のお出かけですから、ちょっとお洒落もしなくては。
そこで、背広を新調することに。ぴったりのが見つかりました。こちらはオーダーではなくて、「吊るし」ですが、春らしく、紅白の衣装とも合うピンクの背広。近所のユニクロで買ってもらいました。
応接室で、お迎えを待つ太郎です。右上に見えるのは先代で創業者の山田六郎、左上のは山田の色紙です。
ついでに、足もとも新しいクツを。衣装に合わせて、赤い靴を。こちらはコンバースですね。アメリカのミュージカルですから、アメリカっぽく。
そして、いよいよお出かけです。今回は、お店の裏通りにクルマでお迎えということで、裏側を開けてスタンバイ。といっても一人で立っていられないので、旧ウラ・くいだおれ店長の本田君がお守役です。
そして、お店の前にはすでに報道陣が・・・
posted by くいだおれ太郎 at 22:24| Comment(2)
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2008年05月06日
プレスリリース
さて、明日5月7日には「くいだおれ太郎」がミュージカル観劇に出かけます。
今回のように、「太郎」がお出かけするときとか、店頭でいつもと違う衣装に着替えるときなどは、ふだんおつきあいのあるメディアさんにあらかじめ「プレスリリース」を送って、お知らせします。
プレスリリースにもいろいろな形があると思いますが、「大阪名物くいだおれ」ではファックスで送信しています。
このような体裁のものです。
お伝えする内容によって送り先の数も違いますが、基本は5大紙、朝日、読売、毎日、日経、産経の5紙。それに、通信社つまり共同通信社と時事通信社。通信社からは各地方紙とスポーツ紙、夕刊紙に配信してもらえるので助かります。
スポーツ紙は数も多く、そのときどきでおつきあいのある記者さんがいたりいなかったりすることがあるので、送り先もたびたび変わります。「くいだおれ」からプレスリリースを流すなんて年に何度もあるわけではないので、けっこう記者さんの異動もあるのですね。
また、各紙とも社会部宛にお送りするのですが、おつきあいのある記者さんが多ければ、その分宛先も多くなります。
あと、テレビはもっと大変です。主に在阪の局が中心ですが、番組ごとに宛先が違いますし、大きなイベントになれば東京のキー局にもリリースを流しますから、一チャンネルで十カ所くらい流すこともあります。
「くいだおれ」がリリースを送信する宛先はふつう30から50くらいですが、今回の観劇については、ご招待してくださる「TRIP OF LOVE」の事務局とセットでお送りしたので(招待する方と、していただく方の両方から)、文化部とか専門誌、情報誌など合計300以上の宛先がありました。
何せ300なんていう数は初めてのもので、ファックスの送信機に蓄積してはいちいち送信し、と、送信をはじめてから終わるまで8時間くらいかかりました。いやはや、大変です。
で、プレスリリースの内容ですが、今回のように「太郎」が何かをする場合、味気のないリリースをお送りしても面白くないので、「太郎」からのメッセージという形でお送りします。
たとえば、今回はこんな感じです。ちょっと長いですが、丸ごとご紹介しましょう。
「大阪名物くいだおれ より お知らせ
報道関係者各位
「ひゃあー! わて、ご招待されましてん。
大阪で、ブロードウェイやて!」
このたび、OBPのシアターBRAVA!で上演中のブロードウェイ・ミュージカル「TRIP OF LOVE」より、くいだおれ太郎と柿木女将に観劇のご招待をいただきました(5月7日)。
つきましては、以下のとおり、「太郎」のコメントをお伝えさせていただきます。また、明日、店頭の「太郎」に新しいフキダシを取り付ける予定です。
取り急ぎ、ご連絡申し上げます。よろしくどうぞ。
「閉店の記者会見で、社長はんと女将さんが言わはった。道頓堀はもともと芝居の街やったのに、小屋がのうなって、さみしうなって、「大阪名物くいだおれ」もそろそろお役ごめんやなあ、いうて。
ほんまに、芝居がのうなって、芝居がえりのお客さんもだんだん少のうなって、わてもえらいさみしい思いや。昔は、お芝居みて、おいしいもん食べて、いうのんがこの街の楽しみやったのになあ。
なつかしいなあ、思てたら、わて、アメリカの本場の芝居にご招待されましてん。
本場の、いうたかて、アメリカまで行くわけやおまへん。アメリカの、本場のミュージカルが大阪へ来てはって、日本のお方がそれを仕切ってはるんやそうな。道頓堀かいわいで育ちはった方やとかで、わてのこと、えらいなつかしい、いうて、女将さんといっしょにご招待してくれはりましてん。
アメリカの、本場の役者さんが大阪に来はる、いうのんは、最初で最後かもしれん、いうことですねん。見にいきはったお方の話では、ほんまにすごい、一流のなかの一流の芝居や、いうことやから、わて、ほんまに楽しみにしてまんねん。
長いこと、がんばって太鼓たたいてたら、ええこともおまんねんなあ。あと2週間、まちどおしいなあ。」
平成20年4月24日
大阪名物くいだおれ ・・・・ 」
こういうイベントをやるたびに、「太郎の言葉」をいっしょけんめい考えるのも女将以下役員たちの仕事なのです。まあ、そこまで凝らなくてもよいことかもしれませんが。
で、リリース翌日の「太郎」のフキダシはこんな感じでした。
今回のように、「太郎」がお出かけするときとか、店頭でいつもと違う衣装に着替えるときなどは、ふだんおつきあいのあるメディアさんにあらかじめ「プレスリリース」を送って、お知らせします。
プレスリリースにもいろいろな形があると思いますが、「大阪名物くいだおれ」ではファックスで送信しています。
このような体裁のものです。
お伝えする内容によって送り先の数も違いますが、基本は5大紙、朝日、読売、毎日、日経、産経の5紙。それに、通信社つまり共同通信社と時事通信社。通信社からは各地方紙とスポーツ紙、夕刊紙に配信してもらえるので助かります。
スポーツ紙は数も多く、そのときどきでおつきあいのある記者さんがいたりいなかったりすることがあるので、送り先もたびたび変わります。「くいだおれ」からプレスリリースを流すなんて年に何度もあるわけではないので、けっこう記者さんの異動もあるのですね。
また、各紙とも社会部宛にお送りするのですが、おつきあいのある記者さんが多ければ、その分宛先も多くなります。
あと、テレビはもっと大変です。主に在阪の局が中心ですが、番組ごとに宛先が違いますし、大きなイベントになれば東京のキー局にもリリースを流しますから、一チャンネルで十カ所くらい流すこともあります。
「くいだおれ」がリリースを送信する宛先はふつう30から50くらいですが、今回の観劇については、ご招待してくださる「TRIP OF LOVE」の事務局とセットでお送りしたので(招待する方と、していただく方の両方から)、文化部とか専門誌、情報誌など合計300以上の宛先がありました。
何せ300なんていう数は初めてのもので、ファックスの送信機に蓄積してはいちいち送信し、と、送信をはじめてから終わるまで8時間くらいかかりました。いやはや、大変です。
で、プレスリリースの内容ですが、今回のように「太郎」が何かをする場合、味気のないリリースをお送りしても面白くないので、「太郎」からのメッセージという形でお送りします。
たとえば、今回はこんな感じです。ちょっと長いですが、丸ごとご紹介しましょう。
「大阪名物くいだおれ より お知らせ
報道関係者各位
「ひゃあー! わて、ご招待されましてん。
大阪で、ブロードウェイやて!」
このたび、OBPのシアターBRAVA!で上演中のブロードウェイ・ミュージカル「TRIP OF LOVE」より、くいだおれ太郎と柿木女将に観劇のご招待をいただきました(5月7日)。
つきましては、以下のとおり、「太郎」のコメントをお伝えさせていただきます。また、明日、店頭の「太郎」に新しいフキダシを取り付ける予定です。
取り急ぎ、ご連絡申し上げます。よろしくどうぞ。
「閉店の記者会見で、社長はんと女将さんが言わはった。道頓堀はもともと芝居の街やったのに、小屋がのうなって、さみしうなって、「大阪名物くいだおれ」もそろそろお役ごめんやなあ、いうて。
ほんまに、芝居がのうなって、芝居がえりのお客さんもだんだん少のうなって、わてもえらいさみしい思いや。昔は、お芝居みて、おいしいもん食べて、いうのんがこの街の楽しみやったのになあ。
なつかしいなあ、思てたら、わて、アメリカの本場の芝居にご招待されましてん。
本場の、いうたかて、アメリカまで行くわけやおまへん。アメリカの、本場のミュージカルが大阪へ来てはって、日本のお方がそれを仕切ってはるんやそうな。道頓堀かいわいで育ちはった方やとかで、わてのこと、えらいなつかしい、いうて、女将さんといっしょにご招待してくれはりましてん。
アメリカの、本場の役者さんが大阪に来はる、いうのんは、最初で最後かもしれん、いうことですねん。見にいきはったお方の話では、ほんまにすごい、一流のなかの一流の芝居や、いうことやから、わて、ほんまに楽しみにしてまんねん。
長いこと、がんばって太鼓たたいてたら、ええこともおまんねんなあ。あと2週間、まちどおしいなあ。」
平成20年4月24日
大阪名物くいだおれ ・・・・ 」
こういうイベントをやるたびに、「太郎の言葉」をいっしょけんめい考えるのも女将以下役員たちの仕事なのです。まあ、そこまで凝らなくてもよいことかもしれませんが。
で、リリース翌日の「太郎」のフキダシはこんな感じでした。
posted by くいだおれ太郎 at 22:29| Comment(0)
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2008年05月05日
「紋日」
お正月三が日、お盆の三日間、そしてゴールデンウィークの間をこの業界では「紋日(もんび)」といいます。
「もんび」というのは、別に語源があるようですが、お祝い事やお祭りがある日のことで、特に人出が多かったり、特別の慣習があったりする日、ということだそうです。昔は1月10日前後の「戎(えびす)さん(「えべっさん」)」の日も紋日になっていたのですが、今はこれに替わって五月の連休が紋日ということになっています。
「大阪名物くいだおれ」にとっては、今年は特に閉店を惜しんでおいでいただいたお客様でごったがえしていることもありますが、例年、紋日の店頭はすごいにぎわいです。
毎年、紋日の前には、その日にそなえて厨房やホールのスタッフを十分に確保し、食材の仕入れもいつもよりかなり多くなります。
特にここ数年は「くいだおれオムライス」の人気が高いので、玉子の仕入れはしっかりと。昨日は一日に玉子2000個を仕入れたということですが、前日までの在庫を考えればもっと使ったのかもしれません。
「くいだおれオムライス」は、サフランライスの上にふわふわのオムレツを乗せる、「オープンタイプ」というタイプのオムレツです。オムレツにナイフを入れるとそれがとろりと広がるから「オープン」タイプです。
「くいだおれ」のは、お一人様分で玉子3個強。紋日には一日にこのオムレツを数百個巻きます。一個巻くのに所要時間は1分ほどですから、300個で5時間、600個で10時間。はい。そのぐらいですね。だからお昼や夜のピークの時間帯には、職人2、3人がかかりっきりです。玉子2000個ということは、ざっと600食ということですね。
そのほかにも、「オムレツドリア」などサフランライスを玉子で巻いたものもありますから、オムレツの個数としては600ではきかないでしょう。
この、オムレツを巻くところはユーチューブでご覧いただけます。
http://www.youtube.com/cuidaore
巻いているのは、ベテランの職人さん、佐々木さんです。
このバーナーの火の強さを見てください。業務用のバーナーの火力は家庭用のバーナーの3倍くらいだそうですが、これをほとんど全開にして、フライパンを温めてバターを溶かして卵液を流し込み、素早くかき混ぜながら一気に火を通します。
そして、フライパンの向こう側にまとめて、ひっくり返します。これも、ゆっくりやるならフライパンの柄の付け根をトントン叩いて少しずつひっくり返すのですが、手早くやるときはこのビデオのように一気に。これは見ているほど簡単なものではなくて、慣れないと絶対できません。
業務用の玉子は仕入れの単位が「ケース」、すなわち10kg。約160個です。2000個といえばざっと12ケース。こうなると、玉子を割って溶くだけでもたいへんです。業務用には、生卵を割って溶いた「液卵」というものも出回っていますが、仕入部によれば「あれはまずくて使えん」のだそうです。「液卵」はふつうに使われているから「まずくて使えん」ことはないと思うのですが、このあたりが「くいだおれ」のこだわりなのでしょうか。
ところで、ゴールデンウィークとなるとやはり遠来のお客様が多いのかと予想していたのですが、ご予約のお客様で圧倒的に多かったのは、大阪近辺のお客様でした。ご家族で揃って食事をするとなるとやはり連休のような機会しかなかなかないようです。
これまで「紋日」はご予約がほとんどなくて、当日のお客様ばかりだったのですが、この連休はご予約で昼も夜も、お座敷がいっぱいになりました。あらためて、地元のお客さまに閉店を惜しんでいただいていること、一同ありがたく感じ入っている次第です。
「もんび」というのは、別に語源があるようですが、お祝い事やお祭りがある日のことで、特に人出が多かったり、特別の慣習があったりする日、ということだそうです。昔は1月10日前後の「戎(えびす)さん(「えべっさん」)」の日も紋日になっていたのですが、今はこれに替わって五月の連休が紋日ということになっています。
「大阪名物くいだおれ」にとっては、今年は特に閉店を惜しんでおいでいただいたお客様でごったがえしていることもありますが、例年、紋日の店頭はすごいにぎわいです。
毎年、紋日の前には、その日にそなえて厨房やホールのスタッフを十分に確保し、食材の仕入れもいつもよりかなり多くなります。
特にここ数年は「くいだおれオムライス」の人気が高いので、玉子の仕入れはしっかりと。昨日は一日に玉子2000個を仕入れたということですが、前日までの在庫を考えればもっと使ったのかもしれません。
「くいだおれオムライス」は、サフランライスの上にふわふわのオムレツを乗せる、「オープンタイプ」というタイプのオムレツです。オムレツにナイフを入れるとそれがとろりと広がるから「オープン」タイプです。
「くいだおれ」のは、お一人様分で玉子3個強。紋日には一日にこのオムレツを数百個巻きます。一個巻くのに所要時間は1分ほどですから、300個で5時間、600個で10時間。はい。そのぐらいですね。だからお昼や夜のピークの時間帯には、職人2、3人がかかりっきりです。玉子2000個ということは、ざっと600食ということですね。
そのほかにも、「オムレツドリア」などサフランライスを玉子で巻いたものもありますから、オムレツの個数としては600ではきかないでしょう。
この、オムレツを巻くところはユーチューブでご覧いただけます。
http://www.youtube.com/cuidaore
巻いているのは、ベテランの職人さん、佐々木さんです。
このバーナーの火の強さを見てください。業務用のバーナーの火力は家庭用のバーナーの3倍くらいだそうですが、これをほとんど全開にして、フライパンを温めてバターを溶かして卵液を流し込み、素早くかき混ぜながら一気に火を通します。
そして、フライパンの向こう側にまとめて、ひっくり返します。これも、ゆっくりやるならフライパンの柄の付け根をトントン叩いて少しずつひっくり返すのですが、手早くやるときはこのビデオのように一気に。これは見ているほど簡単なものではなくて、慣れないと絶対できません。
業務用の玉子は仕入れの単位が「ケース」、すなわち10kg。約160個です。2000個といえばざっと12ケース。こうなると、玉子を割って溶くだけでもたいへんです。業務用には、生卵を割って溶いた「液卵」というものも出回っていますが、仕入部によれば「あれはまずくて使えん」のだそうです。「液卵」はふつうに使われているから「まずくて使えん」ことはないと思うのですが、このあたりが「くいだおれ」のこだわりなのでしょうか。
ところで、ゴールデンウィークとなるとやはり遠来のお客様が多いのかと予想していたのですが、ご予約のお客様で圧倒的に多かったのは、大阪近辺のお客様でした。ご家族で揃って食事をするとなるとやはり連休のような機会しかなかなかないようです。
これまで「紋日」はご予約がほとんどなくて、当日のお客様ばかりだったのですが、この連休はご予約で昼も夜も、お座敷がいっぱいになりました。あらためて、地元のお客さまに閉店を惜しんでいただいていること、一同ありがたく感じ入っている次第です。
posted by くいだおれ太郎 at 23:05| Comment(0)
| 日記
2008年05月04日
くいだおれ流「地産地消」
5月の「大阪名物くいだおれ」は、「くいだおれ流地産地消」と称して、全国の旬の食材を集めたお料理をお出ししています。
「地産地消」という言葉は、もともとは地元で採れる農産物などを中心に消費するという意味だったようですが、今はその意味合いが少し変わり、「伝統食」を見直すという意味で使われているようです。
そこで、くいだおれ流の地産地消を追求してゆくと、「大阪の伝統料理」。
ということは、「日本料理」ということになります。
太郎のうしろにずらりと並べた看板をご覧ください。
「大坂は天下の台所」とはよく知られた言葉ですが、逆に言えば、江戸時代には大坂以外の土地では、全国のモノが手に入る、ということがほとんどなかったということではないでしょうか。今の日本では、たぶんどこへ行っても地元の産品だけで生活が成り立っているということはないでしょうけれども、江戸時代に全国の産品が手に入る街はほとんどなかったのでしょうね。
それで、「日本料理」「会席料理」も大阪で発展することになったわけですが、さてそこで考えてみると、「会席料理」にはどれだけ「大阪産」のものが使われているか・・・
実は、「大阪特産」の商品ってあまりないのです。
あえて言えば、鱧(はも)くらいでしょうか。たしかに、鱧はよく使います。4月のはしりの時期から、9月ころの名残鱧まで、鱧はめいっぱい使いますね。でも、そのくらい。
日本料理を象徴する「鯛」も、本場は明石、鳴門といいますから、兵庫県、徳島県。「明石の蛸」も知られていますが、やっぱり「明石」です。
日本酒も、もともとは大阪市内で造ったものが多かったそうですが、江戸時代の間にその本場は「灘」「伏見」、やっぱり兵庫県や京都府ですね。
数えればきりがありませんが、会席料理で多用される食材は大阪そのものより、海の物でいえば明石、淡路、和歌山、陸の物なら丹波(兵庫県と京都府)の松茸、黒豆、大豆や京都の野菜、お茶、など。ほかにも下関の河豚、若狭の鯖、甘鯛、などなど。
たしかに、鮃(ひらめ)だの烏賊、鰈(カレイ)など、大阪湾で捕れるだろうものもたくさんありますが、「大阪産でなきゃ!」というものはとても少ない。
なにより、お米がそうですね。日本全国のお米が集まるところが大坂の米市場ですから、いちばん大事なお米からして、必ずしも「大阪産」ではない。さらに、日本料理の命ともいえる鰹昆布出汁だって、大坂で鰹は捕れないし、昆布なんてよその地方であまり使わなかったものを、はるばる北海道から取り寄せていたのですからね。
要するに、大阪料理、会席料理というのは昔からウインブルドン現象だったというわけでしょうか。
というわけで、「くいだおれ流地産地消」となると、こうやって全国から集まってくることになってしまうわけです。それでも、できるだけ大阪のものを使うようにしているのですが。茄子、菊菜、キャベツ、ネギ、などなど。
ところで、真ん中のこの緑提灯は、「国産食材の使用レベル」を示すものです。
独立行政法人の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の理事の方が発案されたそうで、カロリーベースで国産食材を50%以上使っていれば「星ひとつ」、60%、70%とふえるごとに星が増えて、最高は90%以上の星五つなのだそうです。
「くいだおれ」では「80%以上」の星4つをもらっています。「くいだおれ」のお客様は味にうるさい方が多いので、もともと外国産はあまり使っていなかったのです。
「地産地消」という言葉は、もともとは地元で採れる農産物などを中心に消費するという意味だったようですが、今はその意味合いが少し変わり、「伝統食」を見直すという意味で使われているようです。
そこで、くいだおれ流の地産地消を追求してゆくと、「大阪の伝統料理」。
ということは、「日本料理」ということになります。
太郎のうしろにずらりと並べた看板をご覧ください。
「大坂は天下の台所」とはよく知られた言葉ですが、逆に言えば、江戸時代には大坂以外の土地では、全国のモノが手に入る、ということがほとんどなかったということではないでしょうか。今の日本では、たぶんどこへ行っても地元の産品だけで生活が成り立っているということはないでしょうけれども、江戸時代に全国の産品が手に入る街はほとんどなかったのでしょうね。
それで、「日本料理」「会席料理」も大阪で発展することになったわけですが、さてそこで考えてみると、「会席料理」にはどれだけ「大阪産」のものが使われているか・・・
実は、「大阪特産」の商品ってあまりないのです。
あえて言えば、鱧(はも)くらいでしょうか。たしかに、鱧はよく使います。4月のはしりの時期から、9月ころの名残鱧まで、鱧はめいっぱい使いますね。でも、そのくらい。
日本料理を象徴する「鯛」も、本場は明石、鳴門といいますから、兵庫県、徳島県。「明石の蛸」も知られていますが、やっぱり「明石」です。
日本酒も、もともとは大阪市内で造ったものが多かったそうですが、江戸時代の間にその本場は「灘」「伏見」、やっぱり兵庫県や京都府ですね。
数えればきりがありませんが、会席料理で多用される食材は大阪そのものより、海の物でいえば明石、淡路、和歌山、陸の物なら丹波(兵庫県と京都府)の松茸、黒豆、大豆や京都の野菜、お茶、など。ほかにも下関の河豚、若狭の鯖、甘鯛、などなど。
たしかに、鮃(ひらめ)だの烏賊、鰈(カレイ)など、大阪湾で捕れるだろうものもたくさんありますが、「大阪産でなきゃ!」というものはとても少ない。
なにより、お米がそうですね。日本全国のお米が集まるところが大坂の米市場ですから、いちばん大事なお米からして、必ずしも「大阪産」ではない。さらに、日本料理の命ともいえる鰹昆布出汁だって、大坂で鰹は捕れないし、昆布なんてよその地方であまり使わなかったものを、はるばる北海道から取り寄せていたのですからね。
要するに、大阪料理、会席料理というのは昔からウインブルドン現象だったというわけでしょうか。
というわけで、「くいだおれ流地産地消」となると、こうやって全国から集まってくることになってしまうわけです。それでも、できるだけ大阪のものを使うようにしているのですが。茄子、菊菜、キャベツ、ネギ、などなど。
ところで、真ん中のこの緑提灯は、「国産食材の使用レベル」を示すものです。
独立行政法人の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の理事の方が発案されたそうで、カロリーベースで国産食材を50%以上使っていれば「星ひとつ」、60%、70%とふえるごとに星が増えて、最高は90%以上の星五つなのだそうです。
「くいだおれ」では「80%以上」の星4つをもらっています。「くいだおれ」のお客様は味にうるさい方が多いので、もともと外国産はあまり使っていなかったのです。
posted by くいだおれ太郎 at 14:53| Comment(0)
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2008年05月01日
翌月へ向けて 続
さて、写真の話の続きの前に、もうひとつの月末のルーティーン、割烹部の会席料理の説明会、略して「料説」(りょうせつ)です。
毎月月末になると、こうやって仲居の姐さんがたを集めて、調理長が翌月の会席の説明をします。
「くいだおれ」では、7000円の会席を基本として、これよりも安いグレードのものはどのお皿が省略されるとか、どのお皿の代わりに何が入るとか、逆に高いグレードなら何が追加されるとか、どれがどう変わるとか。
また、仲居がお客様に料理の説明をきちんとできるように、それから、どのような手順で準備してお客様にお出しするものか、そういうことを逐一、調理長から説明するわけです。
画面右側から竹間調理長、その隣が村井マネージャーです。
こうやって、毎月更新する会席料理の打合せをするわけですが、現実にはなかなか打合せ通りにできるものでもありません。
調理場は、温かい物は温かく、冷たいものは冷たくお出しすることに神経を集中しています。それから、お客様をお待たせしないことも。だから、ホールのサービスがちょっと遅いとイライラするものです。
ところが、現場はそうばかりもゆきません。お客様はおしゃべりに夢中になるものですし、それぞれ召し上がる早さも違います。
また、次から次から料理が出てくると、それをこなすのが精一杯になって、おしゃべりどころか、お料理を楽しんでいただくことすらできなくなります。
このあたりの加減が難しいのは、和食の会席料理でも、西洋料理のコースでも同じことですね。
ホールから調理場へはいちいち合図を出すようにしているのですが、それでもなかなか納得のゆかないことも多いようです。お客様の組数も多いですしね。合図があって、今の今では出せないことも多いでしょう。
特に調理場にとっては、熱々のものを調理場からお出ししても、お客様のテーブルに届くときにはけっこう冷めてしまうことも多い。だから、料理を出すタイミングにはとても神経質になります。帝国ホテルのフランス料理でも、お客様に熱々、あるいは温々(ぬくぬく)を召し上がっていただくために、ボーイが素手では持てないほどお皿を熱くするものだと聞いたことがあります。
お座敷で召し上がるお客様には、そんな苦労はなかなかわからないと思います。また、この苦労がおわかりになるようでは困るわけです。せいぜい「料理が遅いな」と感じられるくらいでなければ。
調理場もホールも、毎日毎日、「今日はお料理のすすみ具合がうまくいった」とか、「今日はちぐはぐだった」と思いながらやっているようですが、お客様にとってはいかがでしょうか。
私ども、お料理を召し上がっていただく側としては、「今日はお料理の進行が良い具合だった」と思っていただけることもありがたいことですが、でも、それよりも、料理の進み具合が早いか遅いかなんて気にならずにお食事を楽しみ、会話を楽しんでいただくのが、何よりの喜びなのです。
毎月月末になると、こうやって仲居の姐さんがたを集めて、調理長が翌月の会席の説明をします。
「くいだおれ」では、7000円の会席を基本として、これよりも安いグレードのものはどのお皿が省略されるとか、どのお皿の代わりに何が入るとか、逆に高いグレードなら何が追加されるとか、どれがどう変わるとか。
また、仲居がお客様に料理の説明をきちんとできるように、それから、どのような手順で準備してお客様にお出しするものか、そういうことを逐一、調理長から説明するわけです。
画面右側から竹間調理長、その隣が村井マネージャーです。
こうやって、毎月更新する会席料理の打合せをするわけですが、現実にはなかなか打合せ通りにできるものでもありません。
調理場は、温かい物は温かく、冷たいものは冷たくお出しすることに神経を集中しています。それから、お客様をお待たせしないことも。だから、ホールのサービスがちょっと遅いとイライラするものです。
ところが、現場はそうばかりもゆきません。お客様はおしゃべりに夢中になるものですし、それぞれ召し上がる早さも違います。
また、次から次から料理が出てくると、それをこなすのが精一杯になって、おしゃべりどころか、お料理を楽しんでいただくことすらできなくなります。
このあたりの加減が難しいのは、和食の会席料理でも、西洋料理のコースでも同じことですね。
ホールから調理場へはいちいち合図を出すようにしているのですが、それでもなかなか納得のゆかないことも多いようです。お客様の組数も多いですしね。合図があって、今の今では出せないことも多いでしょう。
特に調理場にとっては、熱々のものを調理場からお出ししても、お客様のテーブルに届くときにはけっこう冷めてしまうことも多い。だから、料理を出すタイミングにはとても神経質になります。帝国ホテルのフランス料理でも、お客様に熱々、あるいは温々(ぬくぬく)を召し上がっていただくために、ボーイが素手では持てないほどお皿を熱くするものだと聞いたことがあります。
お座敷で召し上がるお客様には、そんな苦労はなかなかわからないと思います。また、この苦労がおわかりになるようでは困るわけです。せいぜい「料理が遅いな」と感じられるくらいでなければ。
調理場もホールも、毎日毎日、「今日はお料理のすすみ具合がうまくいった」とか、「今日はちぐはぐだった」と思いながらやっているようですが、お客様にとってはいかがでしょうか。
私ども、お料理を召し上がっていただく側としては、「今日はお料理の進行が良い具合だった」と思っていただけることもありがたいことですが、でも、それよりも、料理の進み具合が早いか遅いかなんて気にならずにお食事を楽しみ、会話を楽しんでいただくのが、何よりの喜びなのです。
posted by くいだおれ太郎 at 23:14| Comment(0)
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