2008年04月30日

翌月へ向けて

「大阪名物くいだおれ」では、月末になると翌月へ向けてのルーティン作業がはじまります。といっても、請求の締めとか支払いの段取りとか、そういう味気ないことではなくて、もっと「来月が楽しみ!」というたぐいの作業です。

まず、ホームページの更新。

撮影1

「くいだおれ」のホームページには、澤雄司さんの「澤スタジオ」に料理の撮影をしてもらっています。
澤さんといえば、この世界では知らない人のない「御大」だそうです。「だそうです」なんて他人事みたいな言い方なのは、もともと「くいだおれ」とはプライベートなおつきあいから仕事をお願いすることになったので、はじめからそんなにすごいカメラマンだとは知らなかったということです。

澤さんはニューヨークで写真の仕事をしておられて、その頃は特にジャンルを問わないお仕事だったそうですが、帰国後、本格的な料理の勉強をされた奥様の影響もあって、そしてもともとご本人がかなりの美食家であることもあって、料理写真といえば澤さん、ということになっていった、ということです。

ちょっと前までは「フィガロ」とか「Pen」のお仕事もされていたとか。また、「あまから手帖」の初期のスタッフでもあったとか。家族営業の「くいだおれ」はまったく不勉強でして、ハイアットでのお仕事を知ってのけぞったのも最近の話。
「くいだおれ」はすごいカメラマンにお願いしていたのだなあ、と一同あらためて驚いたというのも、のんきな話でした。
おつきあいをはじめる前から、澤さんは「あまから手帖」に「もっと「くいだおれ」をまじめにとりあげなきゃ!」と言っていただいていたそうです。ありがたい限りですが、残念ながらあまり取り上げていただいてませんでした。

もし、今までに「くいだおれ」のホームページを見て「美味しそう」と思っていただけたなら、それはひとえに写真の効果があると思います。美味しそうに写すというのは、やはり腕前と、そしてその料理に対する愛情のようですね。

撮影2

今日は「御大」澤さんは体調不良で、急遽お弟子さんの池本くんが撮影。
「くいだおれ」のホームページではスタイルがだいたい決まってきていることもあり、ふだんから撮影に参加している池本くんの腕前は、澤さんも「彼なら大丈夫」というお墨付きです。たしかに、彼はまだ若いですがセンス良いです。

料理写真でむずかしいのは、「美味しそうな色」を写真に写すのがむずかしいことですね。
「美味しそう」な色とは、たとえばお肉が焼けた茶色とか、あるいは生湯葉のクリーム色。白身魚のお造りの透明感があって温かみのある白とか、料理にかけた餡のつやつやした色。

これをそのまま、見たままに撮るのはほんとに難しいです。
ところが、毎月毎月澤さんに撮ってもらうと、あら不思議、ほんとに見たままに撮れるのですね。居酒屋部の野里調理長なんか、「わしの、ほんものより美味そうやなあ」なんて言ってますが。

そして、良い写真を撮ってもらうというのは調理人のモチベーションも高めるみたいで、澤さんが撮影をはじめてから、「お料理が、見る見るきれいになってますね」とおっしゃってました。
良い相乗効果かもしれません。

今月の写真でいえば、会席の目玉の「トマトの桜海老射込み」のトマトの透明感のあるつやとか、射込んだ桜海老の練り物の白さ、あるいは会席の前菜の「いずみや」のおからのところのナチュラルな白い色と質感とか、そのあたりにご注目ください。

そうそう、それから居酒屋部門のトップの生湯葉の写真とか。野里は、「あの写真の生湯葉みたいな美味しそうな盛りつけは、わし、もう、ようしません」(関西地方以外の方への注釈として、「ようしません」は「できません」の意味です。高校の古文漢文で習った「能(よ)くせぬ」が口語になったものでしょうね。よけいな寄り道ですが)と言ってます。

お料理と写真の話、長くなってしまいましたので、続きはまた明日。
posted by くいだおれ太郎 at 22:40| Comment(1) | 日記